巨人、「スモーク」電撃退団の衝撃…閉塞感を打ち破るキーマンは誰だ?

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目立つ“マシンガン継投”

 投手陣でもう一つ気になるのが、リリーフ投手の起用法だ。抑えのデラロサ、セットアッパーの中川皓太が揃って不調ということもあるが、ブルペンにいる投手を矢継ぎ早に投入して、何とか目先を変えてしのぐ試合が増えているのだ。

 今シーズンは9回で試合が打ち切りとなり、どの球団も早めの継投に動きケースは多くなっているが、それにしても1イニングに何人もの投手を起用する巨人の“マシンガン継投”は目立っている。

 阪神がチームのセーブ数全てをスアレスが記録しているのに対して、巨人は7人もの投手がセーブをあげている。これは、いかに巨人が勝ちパターンを確立できていないかを物語っていると言えるだろう。実績やボールの力を考えると、デラロサが万全の状態で復帰するのが最も望ましい。仮に復帰が遅れたとしても、現在のような継投を続けるのはどう考えても望ましくない。1日でも早くブルペン陣を整備することが重要である。

 現在のチーム状況や勢いを考えると、阪神との差を埋めることは簡単ではないが、今年は東京五輪の影響で7月中旬から約1カ月間のシーズン中断を挟むことになっている。その期間に、故障者や調子の上がらない選手の調整に当てられるというのは例年との大きな違いである。

 戦力自体は、決して巨人が劣っているわけではなく、中心となる選手が復調すれば、阪神と互角以上に戦える可能性は高い。緊急補強という考えもあるかもしれないが、まずは、今回ピックアップしたチームの中心を担う選手たちが本来の力を発揮し、首脳陣はそれを最大限に生かす起用法に徹するというのが大きなポイントとなってくるだろう。

 早々にセ・リーグの灯を消さないためにも、王者・巨人のここからの巻き返しに期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月20日掲載

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