「横国大」が人事部のイメージ調査で大躍進の理由 「マジメで着実に仕事をこなす」と評価

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 大学の知名度と企業からの評価は必ずしも一致しないのか。日経新聞社と就職・転職支援事業の日経HRが企業を相手に「人事担当者から見た大学イメージ調査」を実施したところ、1位は北大、2位が京大、3位東北大、4位東大、5位名古屋大と旧帝大がズラリ。ほぉ、北大が1位かと感心していたら、6位に横浜国立大が登場。通称「横国」は関東・甲信越では1位東大に次ぐ2位で、3位東工大や4位早稲田、8位慶応を凌いだのだ。

 調査は「行動力」「対人力」「知力・学力」「独創性」の4項目で評点がとられ、834社が回答。日経HRによると、横国についてはこんなコメントが。

〈論理的思考力があり、関係者と協業する際も納得を得やすい様子が見受けられる。また受け身ではなく主体的に物事を考え行動に移せる〉(化学)

〈実直で丁寧に仕事に向き合う素直さ〉(不動産)

〈お客さまのニーズの変化や多様な価値観に対応できる柔軟性と豊かな感性を持っている〉(金融)

 横国は、ある年齢層以上にとっては「旧二期校」の、地味で“一・五流”的なイメージが強かろうが、

「本学が行っている卒業生や就職先対象の調査で浮かび上がるのは“真面目で着実に仕事をするという安心感を持ってもらえる人材”が多いという点です」

 と、当の横国の広報担当。

「仕事を着実にこなしてくれる優秀さが総体的にあるという評価でしょうか。これは本学の“実践性”重視の教育姿勢とつながっていると考えております」

 とはいえ、まだ校風がよくわからない。そこで『人は見た目が9割』などの著書で知られる横国OBの劇作家・竹内一郎氏に訊くと、

「私もあのランキングには注目していました」

 と言うのである。

「横国の学生は、前期試験で東大や一橋、東工大に落ちた子が多く、捲土重来を期して就職に臨もうと4年間頑張ります。向上心に富む一方、東大や早慶に進んだ子たちのような妙なプライドや思い上がりがない。会社にとって自分を過信する手合いほど扱いにくい相手はありません。その点、横国生はほどよいのです」

 横国の成り立ちも関係がありそうだという。

「旧制の横浜経済専門学校、横浜工業専門学校、神奈川師範学校などを母体とする学校で、どちらかといえば京浜工業地帯に労働者を提供する大学でした。研究者を育てるよりは、あくまで実学を重んじる感じですね。調査で全国1位となった北大ももとは札幌農学校で、横国とは実学重視という共通点がある。首都圏出身者が多い早慶などとも違い、両大学とも地方出身の真面目で堅実な子が集まる傾向があると思います」(同)

 半端なエリートよりも、企業がほしがるわけなのだ。

週刊新潮 2021年6月17日号掲載

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