オナイウ阿道が大迫勇也の後継に名乗り 上田綺世との争いへ

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強いフィジカル

 実は今シーズンのJ1でオナイウ阿道は5月1日の第12節、FC東京戦でハットトリックを達成して通算ゴール数を8に伸ばしたが、1点目と2点目はいずれもキルギス戦の2点目と同じパターンだった。右サイドを俊足FWエウベルがドリブル突破すると、いずれもニアへ走り込んでマーカーの意識を引きつけ、回り込むようにファーへ流れてフリーとなり右クロスを押し込んだ。

 元々フィジカルには定評があったが、荒削りなところもあり16年のリオ五輪ではバックアップメンバーとして現地入りした。久保裕也(27)がクラブの事情で招集を断念しなければならなかった時に、代わりにバックアップメンバーから代表入りしたのが鈴木武蔵(27)だった。

 父がジャマイカ人の鈴木と、ナイジェリア人のオナイウ阿道は何かにつけて比較されたが、先に代表デビューしたのも鈴木だった。しかし18年、オナイウ阿道に転機が訪れる。元JFA技術委員長の霜田正浩が監督を務めるJ2山口でストライカーとしての才能が開花。42試合で22ゴールをあげて注目を集めると、翌年はJ1の大分を経て昨シーズンに横浜FMへの移籍を果たした。

 大迫の後継者探しは長年の課題だった。しかしオナイウ阿道が結果を残したことで、その候補となったことは確かだろう。22日には五輪のメンバー18名が発表され、来月の22日からは東京五輪が始まる。

森保監督の手応え

 日本がメダルを獲得できるかどうかに注目が集まるが、五輪を経て成長した選手らが8月30日から始まる予定のカタールW杯アジア最終予選で日本代表に合流する。日本以外にアジア最終予選に進出したのは1位突破のシリア、オーストラリア、イラン、サウジアラビア、UAE、韓国の6チームと、2位突破の中国、オマーン、イラク、ベトナム、レバノンの5チーム。

 最終予選は6チームが2グループに分かれてリーグ戦を戦い、各グループ上位2チームが本大会へ出場。3位同士がアジア・プレーオフを行い、勝者が大陸間プレーオフに回って、ここで勝利すれば本大会に進出できる。最終予選は基本的にホーム・アンド・アウェーだが、コロナ渦の影響でセントラル方式の1回戦のリーグ戦か、ダブル・セントラル(時期をずらして2カ国でリーグ戦を実施)となる可能性もある。

 森保監督は最終予選について「できればホーム・アンド・アウェーがいいです」と希望しながらも、セントラルになったとしても「コロナ対策をしながらの大会になるかもしれないので、(今回が)いいシミュレーションになった。食事は学校みたいに前を向いて食べ、部屋の行き来もできなかった。選手はガマン強くやってくれた」と手応えを口にした。

「これまで戦ってきた2次予選とは別次元の戦いと思わないといけない。フワッと入ってしまったら痛い目を見る」(森保監督)ことだけは間違いない。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月18日掲載

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