菅首相の国際会議デビュー G7におけるファッション・チェック

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スタイリストをつけた竹下元首相

 実は森氏は、映画俳優・高倉健(享年83)の甥に当たる。健さんの妹の長男が森氏だ。健さんは伝えられる通り、ファッションにはうるさかったようで、

「メンズ・ファッションのルールにはとても厳格でした。ルールを知ったうえでどうアレンジするかというのを考えていくわけですね。ジャケットのVゾーン、ラペル幅や種類、肩幅、シャツのカラーの高さ、ネクタイの幅などメンズ・ファッションの世界は約束事が多くて、遊べる部分が少ないと。チーフの代わりにペンを挿したり時計で主張したりする姿勢についてはどうかなぁとこぼしていたことがありました」

 時計にも一家言あったのは有名で、

「G7みたいな場だと時計のバンドはレザー一択なんですね。メタルのバンドはふさわしくない。たとえロレックスでもそうで、“わかっていないやつが多いんだよね”と実際に言っていました」

 菅首相に話を戻そう。

「スタイリストや個人的なアドバイザーをつければ事足りるという考え方も確かにあり、実際、そういった人を付けている政治家はいますが、結構難しいところがあるんですね。竹下登元首相はある時にスタイリストをつけたことがあるのですが、政治家としてのオーラが失われ、むしろケバい感じになったと私には映りました。トレンドを盛り込もうとするとそういう逆効果が出やすいのです。そういうスタイリストなんかよりも、今回は外務省の職員のみならず大使も当然いるわけですから、ドレスコードについて面倒でもしっかり伝えるべきではなかったかと思うんですよ。もしかしたら菅さんのキャラに忖度したのでしょうか」

散髪は高級理容室で

 菅首相は秋田のイチゴ農家出身を売りに、既得権益の打破を旗印に自民党総裁選を勝ち抜いて首相の座に就いた。その後、いわばエリート農家の出身であることや、既得権益の打破どころか既得権益とのべったり具合が、様々な報道で明らかになっていった。

 ある種の野暮ったさもアピールポイントだっただけに、着こなしの方も洗練されていくとツッコミ要素が出てきて、それはそれで面倒だと考える部分もあるのだろうか。

 最後に永田町関係者に聞くと、

「菅さんはファッションに頓着しないように映りますが、靴なんかも含めて良いものを知らないわけではないんです。キャピトル東急内にある高級理容室を使っていたりして、見た目をないがしろにしているわけではありません。そこでは一番安いコースでも、髭剃りも加えると1万4520円。元は1000円カットのQBハウスで切っていた野田佳彦元首相もこのヘアサロンに行き着きました。40平米くらいと結構な広さの完全個室にポツンと椅子が置いてあって、担当者と2人きりでケアしてもらえます。まぁこちらは、なかなか一人きりになれない中でほっと一息つける数少ない場所とうことなのかもしれません」

デイリー新潮取材班

2021年6月15日掲載

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