事件現場清掃人は見た 自殺した20代男性の遺書を姉が“処分して”と言った理由

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神社で焼却

 高江洲氏は、遺書の内容を依頼主の女性に連絡したという。

「女性に『遺書がありましたが、どうしますか?』と電話で問うと、『読み上げてください』と。そして読み終えると、『わかりました。処分してください』とだけ言われました。遺書に書かれていたことを尊重したのだろうと思いました」

 高江洲氏は仕事柄、年に2回、神主にお祓いをしてもらっているそうだが、

「特殊清掃の現場では遺書が発見されることはよくあります。遺族が受け取りを拒否した場合、私の会社で保管します。そして私がお祓いしてもらった際、神主さんに託して神社で焼いてもらうのです」

 亡くなった男性は、車を所有していた。

「車の中は、なぜかゴミだらけでした。『硫化水素発生中』と書かれた紙が何枚もありました。ドアに貼る紙を何度も練習していたのですね。男性は、精神を病んで暴力をふるう自分は社会に不適合だと思って、死を選んだのでしょう。彼を救う方法があったのではないかと思うと、切なくなります。遺書の文字が今でも心に焼きついて離れません」

 遺書に書かれてあったように、遺品はすべて処分し、車も売却したという。

デイリー新潮取材班

2021年6月15日掲載

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