「松山英樹」の恩師が銀座高級クラブで豪遊 4400万円の交際費を巡り詐欺で書類送検

スポーツ 週刊新潮 2021年6月10日号掲載

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 教え子の快挙の陰で恩師に不祥事か。マスターズ優勝の松山英樹選手を育てたことで知られる東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(59)に高級クラブで散財した高額の交際費が発覚。詐欺で刑事告発された上、書類送検となっていたのだ。

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 マスターズで悲願の優勝を果たした松山選手が真っ先に電話したのが阿部監督だった。4月12日に記者会見した監督は、

「夢に向かい、人一倍の向上心で努力してきた結果」

 と、満面の笑みで話していた。実は阿部監督も負けず劣らず「人一倍の努力」により大学内での権力の階段を昇ってきたが、その渦中で、警察沙汰が明るみに出たのだ。

 一報は2019年12月、地元の河北新報が「特定の大学職員の交際費が単年度で4400万円を超えた」と伝えたこと。さらに、翌年の1月には「FLASH」がその特定の大学職員が阿部監督だったと明らかにした上で、銀座や六本木などの高級クラブで多額な支出をしていたと報じた。

「19年10月に仙台北税務署が大学に税務調査に入ったんですよ」

 と大学関係者が明かす。

「すると、阿部さんの交際費が突出して高いことが判明。当時、大学の監事だった犬飼健郎弁護士が調査をすることになったのです」

 犬飼弁護士に尋ねると、

「私のもとには“交際費が高いのは問題だ”“正当な交際費だ”とさまざまな大学関係者からの声が寄せられ、調査ののちに、上申書を大学側に提出しました」

 本誌(「週刊新潮」)が入手した19年11月23日付の犬飼弁護士による上申書は大学の総務部長の職にあった阿部監督を指し、こう言及している。

〈平成27年度の交際費は4400万円を超えております。しかも銀座での飲食も、相当の程度にのぼっております。(中略)多くは、遊興のために使ったと言わざるを得ません〉

 実際、その年の交際費の支払先を確認すると、六本木にある高級クラブには年間13回、計約205万円が支払われ、また別の銀座の高級クラブでは、年間14回、計約192万円もの支払いが発生していた。明細には有名高級店が並び、1回あたりの交際費は10万円を超えている。阿部監督はもともと大学野球部OBで経営者の関係者でも何でもない。

「その後」の推移について、東北福祉大の現役教授がこう憤る。

「無論、一介の職員が使えるような額ではありません。20年1月に開かれた教授会で、ある教授から“こんなにも多額の交際費が使われるのはおかしい”と問題提起がなされました。ところが、直後にコロナ禍が拡がって、教授会の開催が制限され、追及も尻すぼみとなってしまいました」

 この間、交際費問題に関する調査委員会が設置された。今年の春の教授会で改めて報告があったという。

「千葉公慈学長からの説明で“税法上は問題なく必要な交際費だった”という説明がなされました。ただ、なぜそういう結論に達したのか、経緯の説明はありません。阿部さんが高級クラブで接待していた相手の多くは東北福祉大の運営母体である曹洞宗の坊さんなど宗門関係者でした。普段から宗門との結びつきを強めてきた阿部さんが裏で手を回したなんて声も聞かれたほどです」(同)

「仙台北署から…」

 確かに理事長も学長も曹洞宗の住職である。努力が功を奏したのか、阿部監督は学内でも「出世」を遂げていた。

「昨年4月には総務部長よりも上位の学長室長に就いています。さらに特任准教授から特任教授へと昇進し、今年の4月に法人本部統括部長という役職にも就任。関連の医療法人などのまとめ役となった。一介のゴルフ部監督が完全に学内を掌握しつつあるのです」(同)

 接待を繰り返して宗門と良い関係を築いてきたものの、トラブルは万事解決、とはいかなかった。

「今年になって仙台北署から問い合わせがありました」

 と囁くのは、阿部監督が通う都内高級クラブ関係者。

「警察の方が聞いてきたのは、阿部さんが飲みに来た日付と金額、何人で飲みに来たか、ということでした。明らかに阿部さんに関する捜査という感じでしたね」

 また、別の大学関係者の元にも警察からの電話があったという。なぜ警察は阿部監督を捜査しているのか。

 事情を知るもう一人の大学関係者が明かす。

「実はこの多額の交際費を問題視した大学の元教員が宮城県警捜査2課に刑事告発したんです。罪名は詐欺でした」

 捜査関係者が言葉を継ぐ。

「接待といいながら、実態は自身の遊興だったと見られ、同席していない人物の名を精算伝票に記入するなど、大学の経理を欺いた疑いがあった。告発は受理され、東北福祉大が管内にある仙台北署に拠点を設け、捜査してきました。すでに3月に書類送検されており、いまは検察で捜査が行われているところです」

 さて、刑事告発や書類送検の経緯を阿部監督に尋ねようとするも、こちらからの連絡は一切黙殺。代わって東北福祉大の総務部は、

「承知しておりません」

 との回答。

 元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏が解説する。

「起訴または不起訴の判断がされるまでの期間はケースバイケースです。犯罪成立の可能性がある事案だと1年以上かかることもあります。詐欺の時効は7年なので、22年度までは猶予があることになります」

ワイド特集「鬼が出るか蛇が出るか」より

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