中国人民解放軍がコロナ治療薬として期待される「アビガン」の特許を取得 巧妙な手口に日本の関係者は危機感

国内 社会 2021年5月27日掲載

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警告書が送られる日

「まさか人民解放軍が、特許料を稼ごうと申請したわけではないでしょう。むしろ、交渉が不可能な相手だと世界各国が簡単に理解できるよう、人民解放軍が申請を行ったのではないでしょうか。解放軍は国家の意思を体現し、『アビガンを新型コロナの治療に使うという特許の許諾が欲しければ、中国の言うことを聞け』と要求してくる可能性があります」(同)

 それこそ中国にひれ伏せば、アビガンの特許利用は無償で許可するという“微笑外交”が行われてもおかしくないという。

「アビガンは富士フイルム富山化学の発明だ」と、富士フイルムホールディングスや日本政府が主張することは、もちろん可能だ。

 とはいえ、人民解放軍が取得した特許が国際特許としても認められたとしたら、まさに“負け犬の遠吠え”でしかない。

「人民解放軍が国際出願を行っていたかどうかは、申請から18か月が経過すると明らかになります。アビガンの場合は7月末から8月にかけて詳細が分かるでしょう。中国側がタイミングを見計らい、人民解放軍から日本政府に『もし新型コロナの治療にアビガンを使った場合、特許を侵害する可能性があります』などという警告書が送付されたとしても不思議ではないのです」(同)

国も事実を把握

 デイリー新潮の取材に対し富士フイルムホールディングスは、文書で以下のように回答した。

「『アビガン』の有効成分である『ファビピラビル』に関して、中国で新型コロナウイルスに対する用途特許が成立したことは承知しています。今後の対応策などについては、事業戦略上お答えできません」

 更に厚生労働省も次のように回答した。

「中国の人民解放軍が特許を取得したという事実は把握しています。今後の動きについて注視していきます」

 アビガンを新型コロナの治療薬として認めようとする日本の承認審査は今も続いており、一部の専門家やメディアから「時間がかかりすぎる」と批判されている。

 皮肉なことに、中国はアビガンにお墨付きを与え、世界で特許を認めさせようと動いている。彼我の差はあまりに大きいと言わざるを得ないだろう。

デイリー新潮取材班

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