絶不調「筒香嘉智」をドジャースが拾った理由 チャンスを逃せば“お払い箱”に

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「トレードといっても、交換要員は後日決める形式で、年俸はほぼレイズ持ち。つまり“ご自由にお持ち帰りください”状態です。ポンコツ認定されたに等しい」

 と大手紙大リーグ記者が語るのは、トレード移籍した筒香嘉智(29)のことだ。

 昨季、金満とはいえないレイズに年俸2年1200万ドル(約13億円)で入団。チーム内の野手で2番目の高給取りだった。デビュー戦でいきなり本塁打を放つも、ほどなく調子を落とし、ワールドシリーズ(WS)でも存在感を示せず。

 捲土重来を期した今季は、

「幸いにも、同じ左打ちの長距離砲で一塁のポジションを争う崔志萬(チェジマン)(30)が故障で出遅れ、チャンス到来。ところが、打率は昨年の1割9分台をも下回る1割6分台で、本塁打はゼロ。崔が復帰するタイミングで40人枠から外されたのです」(同)

 あとはマイナー落ちかクビかと思われたが、意外にも彼を拾う神が現れた。

 昨年のWS覇者、ドジャースである。WS準V球団からV球団への移籍だが、実情は前述した通りで、華麗な移籍とは言い難い。

 しかし、なぜド軍のような最強球団が筒香を拾ったのか。実はこれもまた“棚からぼた餅”だった。

「ド軍打撃陣が総崩れしてしまったんです」

 と大リーグ研究家の友成那智氏が明かす。

「とりわけ左の主砲ベリンジャー(25)の故障が大きい。結果、レギュラーのうち左打者は2人だけに。そもそも昨オフ、控え野手が相次いでFAで流出し、代打や交流戦のDH要員、特に左打者が枯渇していた」

 そこに筒香がすっぽりハマったわけだ。幸運は続く。

「レ軍では、敵に研究されてから打てなくなりましたが、ア・リーグからナ・リーグへの移籍なので、まだ研究されていない」(同)

 加えて、

「筒香は速球に弱いのですが、ナ西地区のクローザーは速球派が少ない。しかも右投手が多く、左の筒香は代打で使われやすい」(同)

 もっとも、つながったのは首の皮一枚でしかない。

「ド軍は“お試し”としか思っていません。ここでもチャンスを逃したら、ものの2週間でお払い箱になるかもしれません」(同)

 今度こそ“ぼた餅”にありつけるか。

週刊新潮 2021年5月27日号掲載

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