「五輪組織委」で「サービス残業」が横行? 弁護士の“内部告発”ツイートが大炎上
五輪開催の是非で世論が揺れる中、とんでもない発言が“組織委員会内部”から飛び出した。組織委に勤務しているという弁護士が、唐突に、「みんな死ぬほどサービス残業している」とTwitterでつぶやいたのだ。事実ならば、とんでもないスキャンダルである。真意を聞こうと「デイリー新潮」が取材を申し込むとすぐに、アカウントは非公開となり……。
***
速報【独自】まだあった! 自民党都連に新たな「裏金」問題 萩生田氏は「当局から協力を求められれば真摯に説明すべき」
速報「NHKは番組作りすぎ」「受信料は下げられる」 平均給与は1094万円、金融資産は9000億円の巨大組織を専門家が批判
深夜2時に投稿された衝撃の“告発”
まずは、5月23日の深夜2時過ぎに投稿された問題のツイートを紹介しよう。
〈東京オリンピック開会式まで62日。組織委員会で働き始めて最初の1週間が終わった。分かったことは、もう延期とか中止なんて言えないほど、準備は最終段階に突入していて、これ全部を無駄にするのは辛すぎる…〉
問題となったのは、この後に続く一文である。
〈あと、みんな死ぬほどサービス残業してる。23時過ぎても秒でメールの返信が来る〉
発言主は、日本羅針盤法律事務所代表の望月宣武弁護士。メディア関係者の間では、2019年に元ジャニーズの田口淳之介とともに大麻取締法違反で逮捕された、元タレントの小嶺麗奈を弁護した人物として知られる。
本人のプロフィールによれば、セーリング競技が行われる江の島ヨットハーバーの「会場プロトコールマネージャー」を担当しているとのこと。業務の詳細はわからないが、望月氏は組織委の仕事を通して、職員たちが「死ぬほどサービス残業」している現状を目の当たりにしたというのだ。
全労連も問題視
言わずもがな、サービス残業は労働基準法に反する違法行為である。このツイートはすぐさま拡散。24日午後には3300件以上もリツイートされる騒ぎになった。全国労働組合総連合(全労連)まで反応し、
〈東京オリンピック組織委員会は「みんな死ぬほどサービス残業」しているのですか?労働組合として聞き捨てなりません〉
と引用リツイート。他にも〈事実なら大変な問題なので、労働基準監督署としても調べる必要がある〉など、組織委の労働環境を心配する声も見受けられたが、ほとんどの批判は望月氏に集中した。
〈弁護士がサービス残業を黙認するのか〉
〈弁護士が皆死ぬほどサービス残業して対応してる事に加担してるって事?〉
望月氏がTwitterの固定ツイートで、過去に自死した元電通社員の高橋まつりさんと交流があり、働き方改革に取り組みたいと語っていたことについても、〈(だったら)内部告発しろよ。第二のまつりさん防げよ〉などと糾弾される事態に。
確かにこのツイートの真意は謎である。「五輪開催賛成」と言いたかったのか、それに紛れて「内部告発」をしたかったのか、よくわからない。もし、本当にサービス残業を目の当たりにしたというならば、開催・中止の議論よりも、弁護士として違法行為について問題視すべきであろう。
望月氏は回答せず、Twitterを非公開に。一方、組織委は……
望月氏に電話とメールで取材を申し込んだが、返事はなし。それどころか、記者が取材依頼をしてまもなく、アカウントは閉鎖されてしまった。当初、望月氏は〈炎上しても何も宣伝するものがないので、うちの娘のセクシーポーズを見てください!〉と、愛犬の写真を載せ、余裕の構えを見せていたのだが……。
一方、組織委はどう答えるか。広報に、望月氏が組織委でどのような仕事をしているのか、サービス残業はあるのか、午後11時まで職員が勤務しているような実態があるのか、3点について尋ねた。下記が組織委からの回答である。
「(ツイートは)弊会職員が発信したものであることを確認しています。東京2020大会の最終準備のため、職場によっては超過勤務を実施している職員もいます。労働安全衛生法に基づき、職員の勤怠管理や所属長・産業医の面談を実施するなど、職員の健康については組織として安全配慮を行うとともに、衛生委員会等を通じて情報の共有や超過勤務の縮減にむけた取組を行っています。
東京2020組織委員会の業務体制につきましては、今夏に迫った東京2020大会の最終準備のため、原則出勤としつつも、各局室の業務状況に応じて、勤務割合の減は可能としています。現在も在宅勤務でできるものは在宅勤務制度を活用するとともに、三密防止のため時差出勤制度も積極的に活用しています」
こちらが聞きたかったのは、超過勤務の有無ではない。超過勤務に対して、ちゃんと賃金が支払われているか、すなわち違法なサービス残業が行われているか否かである。このような煙に巻くような回答では、望月氏の発言が真実味を帯びてくる。
望月氏も、アカウントを非公開にして逃げるのではなく、弁護士として責任を持って発言の真意を説明すべきである。