全米注目の日本人ボクサー「中谷正義」とは 6月にスーパースター「ロマチェンコ」に挑戦
プロボクシング界には大きく四つの団体と体重別に17の階級がある。さらに“暫定王者”やら“スーパー王者”やら、つまり無数の王者が存在する。それら団体や階級を超えた最強ボクサーを評するランキングが“パウンド・フォー・パウンド(PFP)”である。我らが井上尚弥(28)は現在PFP2位。もちろん日本人歴代最高位だ。
そんな井上のバンタム級2冠防衛戦が6月19日に“ボクシングの聖地”ラスベガスで行われるが、その翌週に同会場で行われるメインイベントにもご注目を。
ワシル・ロマチェンコ(33)──ボクシングに疎くても彼の名は聞いたことがあるのでは。アマ時代に五輪を連覇、プロ入り後は世界最速で3階級を制覇。PFP1位にも君臨した世界的スーパースターだ。
ボクシング記者が語る。
「ロマチェンコは前の試合でテオフィモ・ロペス(23)に判定負け。その後、右肩を手術し、今回が復帰初戦になります。タイトルマッチではありませんが、全米が注目する一戦です」
その対戦相手に選ばれたのが、中谷正義(32)である。日本ではほぼ無名のボクサーで、一見、噛ませ犬に思えるが、
「全く違います。中谷はアメリカで評価が急上昇しているボクサーですよ」
中谷は高校で井岡一翔と同期だった。プロ入り後、負け知らずで東洋太平洋ライト級王者になり11度もの防衛を果たすも、19年夏に行われたIBFライト級王座挑戦者決定戦で、前出のロペスに判定で初黒星を喫する。そして“デビューしてから一回でも負けたら辞めようと思ってた”と言ってあっさり引退してしまう。
しかし、
「米国のファンは中谷を絶賛し、判定には批判が殺到。引退後も“もったいない”との声が多数寄せられ、昨年末にカムバック。復帰戦はラスベガスで、“次世代スター”の呼び声高い相手に、9回逆転TKO勝利し、一段と評価を高めています」
そして今回のロマチェンコ戦。下馬評は悪くない。
「中谷の方がリーチがある。二人が対戦したロペスを物差しに“中谷有利”の声も。勝てば一夜にしてスターボクサーの仲間入りです」