菅総理、補選惨敗で党内の求心力が急低下 NHKへの「強権人事」、ワクチン接種の見通しの悪さが影響

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 4月25日の衆参補選・再選挙で、不戦敗も含めると自民は3戦全敗。菅総理の求心力が低下しているなか、本人だけは慢心しているという――

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「再び多くの皆さま方にご迷惑をお掛けすることになる。心からお詫びを申し上げる次第だ」

 4月23日、4都府県への3回目の緊急事態宣言の発令にあたり、菅総理は記者会見でこう述べた。しかし、ハリウッド大学院大学の佐藤綾子教授(パフォーマンス学)は、

「確かに謝ってはいましたが、お辞儀をする前にカメラを見るわけでも、記者を見るわけでもない。きっと、『ここで謝る』と台本に書いてあったのでしょうが、誰にも視線が届いていない謝罪が、国民の心を捉えられるはずがありません」

 と、厳しい評価を下す。謝罪の言葉は菅総理の「本心」から出てきたものだったのだろうか……。

「謝ったのは表向きのポーズに過ぎないでしょう。菅さんは今、『躁状態』にありますから」

 こう解説するのは、全国紙のある政治部デスクだ。

「菅さんは4月中旬の訪米を機に、どういうわけか気持ちが大きくなってしまった。訪米前から、世耕さん(弘成・自民党参院幹事長)は周囲に『菅さんは舞い上がっている』と言っていましたが、どうやら菅さんは日米首脳会談が成功したと思い込み、自信を取り戻しているようなんです」

 官邸関係者が後を受ける。

「4月20日、NHKの板野裕爾専務理事が『2期4年まで』の慣例を破り、3度目の再任を果たす人事が決まりました。板野さんは、菅総理とNHKのパイプ役で、今回の異例の人事も、誰もが『菅圧力』によるものだと思っているわけですが、総理自身は、NHKを牛耳ってやったと高揚感を覚えている様子です」

「誰が信用するか」

 しかし、菅総理の「自己肯定」とは裏腹に「菅人気」はどこにも存在しない。

「任期満了半年前から、各議員は党のトップや人気政治家と一緒に写る『2連ポスター』を選挙区に貼ります。安倍前総理時代は、2連ポスターの相手として安倍さんが圧倒的に人気でしたが、菅さんを相手に選ぶ議員は減ったと聞いています」(自民党スタッフ)

 案の定、4月25日の衆参補選・再選挙で、不戦敗も含めると自民党は3戦全敗。菅政権に対する世論の厳しさを読めずに悦に入っていたのだ。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が今後の政局を読む。

「総理は、菅降ろしに先手を打つ意味で9月の総裁選前に解散・総選挙を行いたいのでしょう。しかし、先日の会見で“高齢者へのワクチン接種を7月末に終えたい”との見通しを示したが、これまで後手に回ってきた政府を誰が信用することができるでしょうか。ワクチン接種が遅れれば求心力がさらに落ち、解散権の行使は難しくなるかもしれません」

週刊新潮 2021年5月6日・13日号掲載

ワイド特集「はるかなる黄金伝説」より

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