1年3ヶ月ぶりの日韓外相会談に国旗・肘タッチなし 「正しい歴史認識」を持ち出すセンスのなさ

国際 韓国・北朝鮮

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日韓関係を改善する必要はない

「2015年の日韓慰安婦合意に関しては、大統領も考えを改めて尊重すべきだと公言している。それを前提にするなら、韓国側がこれまでの態度を軟化させてもよかったんですが、そうならなかったのは、支持率が過去最低を記録して政権がレームダック化している証拠でしょう」

 韓国メディアは表向き、「日韓間には慰安婦賠償判決、福島原発の汚染水(処理水)放流、強制徴用補償の判決、日本の報復輸出規制などいくつもの問題が絡み合っている」、「外交部長官が1度や2度の会談で解決できるような類のレベルではなく、誰が担当しても苦しいことは間違いない」、「そんななか交渉可能な距離まで詰めることができた」と今回の会談に一定の評価を下していた。

 この点、先の記者に聞くと、

「茂木外相が1年3ヶ月もの間、韓国外交部の長官と会談しなかった理由について、特に韓国メディアはマジメに検証した方が良いでしょう。今回の会談実現を受け、韓国メディアは一歩前進だと報道していますが、日本側から見れば前進も後進もない、何の意味もない会談でしたね」

 と話し、自国のメディアに手厳しく続ける。

「日本の外務省としては、韓国側からの融和メッセージを色んな方向から受け取っているようですが、特に日韓関係を改善する必要はないと考えている。差し当ってコロナ対策が一番重要ですし、東京五輪に解散もある。そうこうしているうちに大統領選が事実上始まる。日韓問題を政治課題にはしづらいタイミングだということでしょう。それなのに、『交渉可能な距離まで詰められた』と報じる韓国メディアはミスリードが過ぎると思います」

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年5月11日掲載

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