韓国で「ウェブトゥーン」原作のドラマが人気 台頭しているワケと注目の俳優

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“顔の天才”

 もちろん映像化された作品の中には、マンガから飛び出してきたかのようにピタリとキャラクターにハマるケースもある。

 アイドルグループ「ASTRO」のチャ・ウヌは韓国で“顔の天才”と形容されるほどのイケメン。ウェブトゥーンドラマの『私のIDはカンナム美人』(原作:『私は整形美人』)と『女神降臨』では原作マンガのイケメンキャラクターを熱演。「シンクロ率100%」といわれ、原作ファンを喜ばせた。

 ソン・ガンも注目株のひとり。『恋するアプリ Love Alam』に主演して注目を集めると『Sweet Home-俺と世界の絶望-』『ナビレラ~それでも蝶は舞う~』で次から次へとウェブトゥーンドラマで主演を果たし、今や“Netflixの息子”と呼ばれている。中でもNetflixオリジナルの『Sweet Home-俺と世界の絶望-』は1話あたり日本円で約3億円という制作費をかけた超大作。これは韓国の歴代ドラマの最高額でシーズン2も制作される。

 時代は刻々と変わりつつある。韓国のウェブトゥーンが急成長し、ケーブルテレビの台頭やストリーミングが主流になったことで韓国ドラマも新たなステージを迎えている。チャ・ウヌもソン・ガンもまさに時代の寵児といえるのではないか。

絵が苦手な人でも

 日本のファンが、「次は何を見ようかな?」と悩んだら、ウェブトゥーンドラマを選べば、ハズすことはない。

 例えば、『キム秘書はいったい、なぜ?』(原作:『もう秘書はやめます』)は韓国で好感度の高いパク・ソジュンとパク・ミニョンをキャスティングした時点で成功は決まったようなものだった。『梨泰院クラス』でのいがぐり頭が印象的だったパク・ソジュンだが、このドラマではまったく違うツンデレなキャラクターを演じている。原作マンガのキャラクター以上に魅力的だった2人は視聴者からの評価も高い。

『他人は地獄だ』も韓国での閲覧数が8億PVを突破した同名の人気マンガが原作だ。独特の作画は読者の好みが分かれるところだが、絵が苦手な人でもドラマとなればまた違った印象を受けるだろう。加えて、『ミセン-未生-』に主演したイム・シワンが除隊後の初作品として選んだドラマでもある。映画『パラサイト 半地下の家族』で強烈な家政婦役を演じたイ・ジョンウンも見るからに怪しげな大家役を不気味に演じている。日本人にはむしろ原作マンガよりドラマのほうが楽しめるかもしれない。

 韓国メディアによれば、大手インターネットサービス会社「NAVER(ネイバー)」はウェブトゥーンで世界市場を攻略すると発表。すでに「NAVERウェブトゥーン」は韓国のウェブトゥーンを翻訳し、世界190カ国・地域など約300万人にサービスを配信する漫画アプリにも投資しているという。
 
 ドラマや映画、K-POPに続き、急速にエンタメの世界に台頭しているウェブトゥーン。マンガ大国の日本もうかうかしていられないだろう。

児玉愛子(韓国コラムニスト)

デイリー新潮取材班編集

2021年5月9日掲載

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