事件現場清掃人は見た 老舗豆腐屋の床下から出てきた重さ200キロ以上の「隠し金」

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全部で200キロ以上

 高江洲氏は、リュックサックを持ってみたところ、重くてなかなか持ち上がらなかったという。

「3つのリックを合わせ、200キロは優にあったと思います」

 1銭銅貨の製造が始まったのは明治6(1873)年で、昭和28(1953)年に廃貨となっている。ちなみに1円は100銭で、豆腐は、明治時代は1丁1銭だった。大正時代は4銭、昭和25年で12銭になっていた。

「明治時代から豆腐を売って稼いだ1銭銅貨を、こつこつと貯め込んでいたのでしょう。床に隠してあったわけですから、帳簿には記載していない隠し金、裏金でしょう。それにしても凄い量でした。こんなものにお目にかかったのは初めてのことで、本当にびっくりしました」

 何のために貯めたのか。

「先々代、先代の店主が、子孫のために貯めておいたのでしょうね。それとも税金を払いたくなかったのか……。もう廃貨になっているわけですから、普通は処分するはずです。それが放置されていたわけですから、亡くなった女性も知らなかったお金かもしれません」

 高江洲氏は、1銭銅貨を全てクリアケースに入れ、娘さんに見せたという。

「娘さんも、かなりびっくりしていましたね。でも、今更使い道もないので、結局私が買い取ることになりました。といっても、わずかな金を渡しただけですが……」

 最終的に高江洲氏は、200キロ以上の銅貨を銅の原材料として買い取り業者に売却した。1キロあたり数百円だったという。

デイリー新潮取材班

2021年5月7日掲載

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