最年少は16歳4日、最年長は45歳4ヵ月…信じ難い“プロ野球投手デビュー記録”を振り返る!

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異名は“小さな大投手”

 今度は最年長記録を見てみよう。ドラフト制以降では、ドラフト史上最年長の30歳で入団した中日・市村則紀の名前が挙がる。

 入団1年目、83年4月9日の広島戦で、4対8の6回1死三塁のピンチにリリーフでデビュー。30歳8ヵ月だった。加藤英司、山本浩二の3、4番をいずれも変化球で打ち取り、好火消しを演じた。

 翌84年5月1日の巨人戦では、3対4の7回2死二塁から鈴木孝政をリリーフして8回まで無失点。9回に豊田誠佑の逆転2ランが飛び出したことから、登板59試合目、31歳9ヵ月のプロ初勝利を手にした。

 もし、昨年のドラフトで元メジャーリーガーの田沢純一が指名されていれば、市村を上回る34歳でのNPBデビューも実現可能だったが、年齢的なネックもあり、獲得に動く球団はなかった。

 だが、過去には40歳を過ぎてデビューした驚異的な投手もいる。“小さな大投手”の異名をとった阪急・浜崎真二である。

 身長156センチと小柄ながら、神戸中、慶大のエースとして活躍。満州倶楽部では投打の柱として都市対抗で優勝するなど、アマで抜群の実績を残した浜崎は、45歳で阪急の選手兼総監督に就任。47年9月28日の南海戦に初先発初登板すると、6回を2失点に抑え、45歳4ヵ月にしてプロ初勝利を挙げた。

 50年5月7日の東急戦では、リリーフながら、NPB史上最年長の48歳4ヵ月で勝利投手に。さらに現役最後の登板となった同年11月5日の毎日戦では先発し、48歳10ヵ月の史上最年長登板も記録したが(毎日も48歳1ヵ月の湯浅禎夫監督が先発)、64年後の14年に49歳0ヵ月の中日・山本昌に史上最年長勝利ともども更新されている。

 史上最年少デビュー記録は、今後更新される可能性もゼロではないが、戦後のプロ野球復興期という特殊な事情下で生まれた浜崎の最年長デビュー記録は、おそらく破られることはないだろう。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮取材班編集

2021年5月4日掲載

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