オムロン、「パワハラ退任」副社長に“退職金満額支給” 社員も愛想を尽かす隠蔽体質

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飲酒運転で国外追放された幹部が出世

「うちの企業ガバナンスがめちゃくちゃなのは、今に始まったことではありませんよ」

 とため息を吐くのは、別の現役社員。

「以前にも、部下にパワハラを繰り返した挙句、新地のクラブで一人で豪遊した領収書を部下に送り付けて、経費として処理させていた幹部がいました。この時は、内部通報で不正が発覚し、その幹部は懲戒処分を受けました。当時も山田社長が全社員に謝罪し、再発防止を徹底すると約束していたのです。ただ、実を言うと、その幹部は元々、山田社長やM前副社長とソリが合わなかった。だからこそ厳しく処分したのでしょう。彼はその後まもなくオムロンを退社しています」

 要するに、社長との距離によって処分内容が変わるということらしい。これも立派な情実人事といえるのではないだろうか。同社には3人の社外取締役がいるが、ガバナンスが機能しているとはとても思えない。

 現役社員が続ける。

「4月20日頃、うちの経営幹部ら数名宛に“オムロン社員”を名乗る差出人から匿名の手紙が届いたんです。ある人に見せてもらったところ、会社の隠蔽体質を批判し、現経営陣の責任を厳しく問う内容でした。また、役員を含む幹部社員数名を名指しして、『M氏のパワハラを黙認していたのだから同罪だ』と糾弾していた」

 その中には、この春の人事で本社の事業部長に出世した幹部も含まれていたという。この幹部については、こんなエピソードも。

「彼はかつて、米国にある子会社の社長を務めていました。ところが、飲酒運転で逮捕されてビザを取り消され、国外退去処分を受けて日本に帰国したのです。一般社員が飲酒運転で捕まったら、懲戒解雇になってもおかしくない。それが社長のお気に入りの幹部となると、ほとぼりが冷めたら復活してまた出世できるのですから、本当にふざけた会社ですよ」(同)

 この手紙の内容についてもオムロンに質問したが、こちらも回答なし。匿名の手紙ゆえ、単なる怪文書として扱われているのだろうか。

 しかし、前出の現役社員らは「差出人はオムロンの社員だからこそ、こういう方法しか取れないのだと思います」と諦めたような表情で語る。

「社内のコンプライアンス・ホットラインに訴えたところで、自分が降格されるか左遷されるだけ。というのも、以前、企業理念の理解度をはかる匿名の社内アンケートが行われたのですが、匿名のはずのアンケート結果がすべて実名でリスト化され、個人ごとに“点数”まで付けられていた。現経営陣に批判的な回答をした人は“赤点”です。その上で、幹部同士で『やっぱり〇〇はダメだな』と社内メールで情報交換し、人事査定の根拠にしていたのです。そんな会社で、自分から声をあげて改革を訴えようという気なんて起きませんよ。私も転職先を探しています」

デイリー新潮取材班

2021年4月30日掲載

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