「ガルベスVS山崎」「巨人阪神遺恨試合」 ……暴れん坊助っ人に対決を挑んだ“伝説の侍”たち

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ファインティングポーズが災い

 日本人でありながら、ガルベス並みのファイトを見せたのが、巨人時代の入来祐作だ。2002年7月25日の阪神戦の7回裏2死、入来は、4番のジョージ・アリアスに投じた初球がすっぽ抜け、背中を通過する大暴投になった。前日の試合でも、3回に矢野輝弘が高橋尚成から左膝に死球を受けると、この日の7回表に阿部慎之助がムーアから右太ももにぶつけられる“死球合戦”があったばかりだった。

 当然、アリアスは激怒し、暴言を吐きながら、マウンドに歩み寄った。すると、入来は逆切れしたかのようにグラブを地面に叩きつけると、両手で胸を叩き、応戦の構えを取った。

 怒りを倍加させたアリアスがダッシュして一発パンチをお見舞いしたのをきっかけに、両軍ナインの大乱闘になり、試合は8分間中断した。友寄正人球審は、入来を危険球、アリアスを挑発行為で退場にしたが、「入来のボールはすっぽ抜けだと思った。ただ、入来が(挑発に)応じたから、危険球と見なした」と説明。ファイティングポーズが災いして、危険球に認定されたのは、とんだ藪蛇だった。

 だが、試合再開後、巨人は8、9回に3点を挙げて同点。最後はサヨナラ負けを喫したものの、自らの退場劇によって、劣勢の試合を接戦に持ち込むきっかけを作った入来は、結果的にチームに貢献したと言えなくもない。このように乱闘は、試合の流れをも変えてしまう“劇薬”なのである。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮取材班編集

2021年4月30日掲載

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