菅首相が“囚人”に…「原発処理水」海洋放出で怒る韓国、日本大使館前デモ「実況中継」

国際 韓国・北朝鮮

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 菅義偉首相のお面を被った男性の首根っこを掴み、引きずり回す男。韓国ソウルの日本大使館前で開かれた、福島第一原発の処理水海洋放出に抗議する集会での一コマだ。毎度お馴染みの「日本バッシング」の光景だが、コロナ禍での集会はどんな様子だったのか。韓国人カメラマンが現地で取材した模様をレポートする。

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 日本政府が東京電力福島第一原発で発生した処理水を海洋へ放出すると発表して以降、反発を強めている韓国。文在寅(ムン・ジェイン)政権はすぐさま相星孝一駐韓大使を呼び出し厳重抗議し、国際海洋法裁判所に提訴する方向で検討すると発表した。

 市民レベルでも反発の声は大きく、4月22日にはソウルの日本大使館前で大学生主催の抗議集会が開かれた。だが、2年前、数千人規模が集結して盛り上がった「NO安倍」の時とは比較にならないくらい小規模なものだったという。

「大学生たちが中心に、総勢で40~50人程度。やはりコロナの影響だと思います。いま韓国では10人以上集う“密”状態を作ると罰せられてしまいますので、彼らは人だかりを1セット9人以下にするなど工夫して抗議していました」(取材した韓国人ジャーナリスト)

 むしろ目立ったのは、警備する警察官の数だったという。

「大使館前を二重、三重と取り囲んで一歩たりとも近づけない体制でした。300人くらいはいたと思います。一部、熱くなった学生が突入しようと構えを見せましたが、すぐに弾き返されていました」(同)

 ただ、パフォーマンスは凝っていたという。学生たちは通行人に、日章旗の中心に「放射線マーク」を入れた旗を配布。午後5時になると、掛け声とともに参加者全員で破いた。ハイライトは、その後に始まった寸劇。

 まず、菅首相のお面を被った青い囚人服を着た男が現れ、路上に正座させられた。脇に立てられた看板には「放射能汚染水は日本人が飲め」。周囲から「お前が飲め!」と怒号が飛ぶ中、上下黄色いジャージをまとったサングラスの男が颯爽と登場した。

 タランティーノ監督の映画「キル・ビル」の主人公を模したつもりか。ジャージ男は「菅首相」の首根っこを掴み、大歓声が沸く参加者たちの前で引き回した後、どこかへと連れ去ったのだった。

 カメラマンはこう振り返る。

「コロナ禍でなければ、すごい騒ぎになっていたと思いますよ。いくら日本やIAEA(国際原子力機関)が安全と主張しても、やっぱり気持ち悪いというのが韓国人の総意です。うちの近所の寿司屋さんも、店の表に『日本の魚は使っていません』と掲げています」

「反日」の根が深い韓国人に理解を求めるのは難しそうだ。

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