クローゼットのなかの洋服にマヨネーズ、床には枕のソバ殻 年間2500人 ストーカー男性被害の実態

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合い鍵を渡していた不倫相手の女性から

「両者の合意のもとで性行為をしても、結局別れてしまうことはあり得ますよね。恋人以外の人と性行為をするのは道徳的に良いことではありませんが、だからといって刑法に触れるような犯罪行為を受けても良いことにはなりません」

 ストーカーの男性被害者は、警察に相談しても救われないことがある。

「ある相談者は、合い鍵を渡していた不倫相手の女性から動画が送られて来たので開いてみると、彼女は『今家にいるよ』と言って、クローゼットのなかの洋服にマヨネーズをびーっとぶちまけていた。床には枕のソバ殻やらオリーブオイルやらをぶちまけて、部屋をぐちゃぐちゃにされていた。また、醤油とか唐辛子とかをミキサーでグチャグチャに混ぜて、無理やり飲まされたりもしたことがあったと言います」

 完全にデートDV(=カップル間で起こる暴力)だ。ある時、女性が刃物を持ち出したので警察を呼んだが、女性は警察にキスマークを見せつけ、二人の仲の良さをアピールした。

「そのキスマークは、無理やり付けさせられたものだったんです。でも、最近まで肉体関係のあった二人を事件化することはできないと判断され、警察からはお咎めナシでした。男女が逆だったら、もう少し違う対応になったのではないかと思います」

 昭和的な価値観が、男性被害者を苦しめることもある。

「世の中にはまだまだ『女は弱い存在であり、男は強い存在である』という固定観念があるのでしょう。例えば、ストーカー被害の相談窓口の多くは自治体の“女性センター”となっていて、男性被害者がそもそも想定されていない。世間からの理解や共感を得にくいんです」

 世の中から見落とされがちな、ストーカーの男性被害者。被害経験を語って下さる方がいれば、私のメールアドレス([email protected])までご一報頂きたい。

西谷格
1981年、神奈川県生まれ。早稲田大学社会科学部卒。地方新聞「新潟日報」の記者を経て、フリーランスとして活動。2009~15年まで上海に滞在。著書に『ルポ デジタルチャイナ体験記』(PHPビジネス新書)など。自身もストーカー被害の経験を持つ。メールアドレスは[email protected]

デイリー新潮取材班編集

2021年4月27日掲載

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