日本にも上陸! 韓国チキン・フランチャイズの仁義なき戦い 過当競争で共食いの死屍累々

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「愛の不時着」には描かれない共食いの実態

 話を過当競争に戻そう。

 大手チェーンでは、フランチャイズとして開業する人向けに、フライドチキンのレシピや経営方法などを教育する場を設けるなど開業サポートもしており、比較的手軽に開業に踏み切ることができる。

 経験があればそれに越したことはないのだろうが、参入障壁は低いから、早期あるいは定年退職者が退職金をつぎ込んでチキン店に打って出ることはよくあり、他方、20代30代の若い世代が起業職種としてチキン店を選ぶことも少なくない。

 しかし、いくらチキン好きの民族といっても限界がある。なにしろ、世界的チェーン、マクドナルドの2倍以上の店舗が狭い韓国にひしめいているのだ。

 当然、チキン店同士での共食いも起こっており、当局の調査によると、2000年代半ばから2010年代半ばまでは開店・閉店の数はほぼ同様であるのに対し、2010年代後半からは閉店の数が開店の数を上回っているという。

 日本に進出しているチキンチェーンのエリアマネージャーに話を聞くと、

「教育と言ってもうちの場合は2週間ほどで、料理経験がゼロだと指導を完全に消化しきれないかもしれません。いくら向上心を持っていても経験の差は歴然とあり、料理経験者の方がお店の営業はうまくいく傾向にあります」

 料理経験者ならチェーン店のチキンでも手際良く調理ができるし、商品ラインナップを臨機応変に整えることもできるが、脱サラ組などの多くはそれまで料理をしたことのない者も多い。

「サービスに関してもお客様の事を考えられるのは経験者組。未経験だとクレームが多いので私たちが1ヶ月ほどつきっきりになります。日本をリサーチしたところ、日本人はある程度の技術、人脈を前提に起業される方が多いようですが、韓国の場合は何も考えず無計画で開業相談に来られる方も多いです。途中で資金が集まらなくなったのか、急に連絡が取れなくなったりすることもしょっちゅう。なかには、店舗の工事代金のメドが立たず、工事の途中で店舗の権利を譲渡したいと我々に申し出る人もいます」

 無計画な出店ラッシュゆえ、3分も歩けば別のチキン店に行き当たる状況が生まれ、チキン店同士が仁義なき共食いを続ける。そこには「愛の不時着」には描かれない人間ドラマがあるようだ。

デイリー新潮取材班

2021年4月27日掲載

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