リモート就活で「面接官を査定するAI」の登場 面接官への好意を自動で判定

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 コロナ禍で学生の就職活動でも「リモート面接」が増えているそうで、周辺ビジネスが急拡大中。さらにAIまで絡んで技術面もスゴいことになっている。

 面接サービスを提供する「ZENKIGEN」社CEOの野澤比日樹氏によると、現在の顧客数は一昨年末から3倍増の450社にのぼり、伊藤忠やソフトバンクも名を連ねるという。

 なにがそんなにウケているのか。野澤氏は言う。

「弊社が提供する『harutaka』にはまず、就活生が長さ1分間の“自己アピール動画”を自撮りできる機能があります。また多数の就活生と自動的に日程を調整し、面談用の個別URLを一斉送信します。こうして人事部の省力化に寄与できるわけです」

 驚くのは、就活生が作ったそのアピール動画をAIが解析するという追加機能。

「応募者の表情や声の調子をAIが分析、五つの項目で数値化して印象を定量化し、採用担当者の参考情報とします。人間が動画を見る際に生じるバイアス(偏見・先入観)を取り除き、従来なら選考からこぼれていたかもしれない学生を掬い上げられるメリットがあります」(同社研究責任者)

 さらには6月から「面接官を評価する機能」もオプションで選べるようになる。

「行動心理学に基づく300項目ほどの非言語情報を分析し、応募者が面接官に対して抱く“尊敬”と“信頼”という二つの指標がどう変化しているか、時系列でグラフにします。尊敬とは応募者が面接官に“こんな人と一緒に働きたいという気持ちを持っているか”、信頼とは“どれくらい面接官に心を開いているか”を表します。たとえば応募者が腕を組んだり下を向いたりすれば、面接官に好意を持っていないようだと判断し、それらの数字が下がるわけです」(野澤氏)

 面接後、このデータによって人事部が採用担当者に「初めはもっと学生の緊張をほぐして、相手からの信頼度を上げたほうがいい」などといった具体的な改善点を示せるという。

「面接官は企業の顔。彼らの印象が悪いと優秀な人材を逃すばかりか、企業のイメージも落ちます。今後はAI自身に改善点を提言させる機能も持たせていく予定です。また、リモート勤務が増えている中、部下と上司の一対一の面接にも使いたいとの声もいただいています」(同)

週刊新潮 2021年4月22日号掲載

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