DeNA、地獄の10連敗…“大低迷”の原因は中途半端な「ドラフト戦略」か?

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投手は機能せず、打線でカバーもできない

 高校生の野手にいたっては森だけである。2011年以前は4年連続最下位という暗黒時代であり、まずチームを立て直すために優先したのが、早く成果に繋がりやすい大学生と社会人の投手だった。この9年間のドラフト上位で指名した18人のうち実に13人を占めている。

 その13人の中から三嶋、山崎、石田健大、今永昇太、浜口遥大、東克樹、上茶谷大河などが戦力となり、ここ数年のAクラス入りに貢献したことを考えると、その戦略は“ある程度”は成功したとはいえる。

 しかしながら、野手では、下位で指名した宮崎敏郎と佐野恵太が主力になっているが、やはり太い柱となると、他球団と比べて心許ない印象は否めない。また、上位指名で獲得した投手たちも、その年の目玉と言えるような選手はおらず、超一流の成績を残したのは山崎ぐらいだ。今年は“そこそこ”の成功を求めてかき集めた投手の多くが故障などもあって機能せず、打線でカバーもできないというのが現状と言える。

 2000年代は確かに成績こそ低迷していたが、そんな中でも内川聖一、筒香嘉智といった“超高校級”の高校生野手を1位で指名し、リーグを代表する選手に育てた。宮崎や佐野のように、ドラフト下位で指名した選手が活躍すればよいのではないかという意見も少なくないが、成功率が高いのはやはり圧倒的に1位指名選手である。毎年ではなくとも、数年に一度は筒香のようなスケールが大きい選手をドラフトで狙うべきではないだろうか。

 巨人は岡本、広島は鈴木という存在があったからこそ、チームはリーグ優勝を成し遂げ、阪神もまた、大山に次いで佐藤を獲得して一気に将来が明るくなった。
DeNAにとって救いは牧が順調なスタートを切ったことだが、将来を考えるとスケールの大きい選手は不足している。この数年以内に、牧とともに長く中軸を任せられるような目玉選手を獲得できるかどうかで、将来のチームが変わってくることは間違いない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月23日掲載

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