トイレのハンドドライヤーを禁止していたのは日本だけ? “ずさんな論文”を鵜呑みにした専門会議

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感染確率は0.01%

 その後、エアロゾル(マイクロ飛沫)の実験も行った。

「三菱電機はハンドドライヤーのメーカーですから、実験を行っても客観性に欠けると言われかねません。そこでエアロゾル研究の第一人者である北海道大学の林基哉教授に監修をお願いしました」(同)

 昨年11月に行われた実験では、20人のうち1人が感染者と想定したオフィスのトイレでハンドドライヤーを使用すると、感染の確率は0.01%という結果が出た。オフィスに7時間滞在した場合の感染率は6.8%。それに比べれば、格段に低い実験結果であった。

「この実験結果に基づいて、ハンドドライヤーは感染拡大にはつながらないと判断しました。使用を再開することを12月のガイドライン改定に盛り込むことにしました」(同)

ガイドラインを改定する際、政府から感染症の専門家に相談するよう指示されていた。

 11月にハンドドライヤーの使用再開が一部メディアで報道されると、テレビのワイドショーやネットで反対論が相次いだ。年末にかけ感染が広がっていたことで、専門家にも実験結果を聞いてもらう時間を取ってもらえなかったという。結局、12月の改定では、ハンドドライヤーの使用再開は見送られた。

「今年3月までに林教授監修の実験結果を専門家にプレゼンし、みなさんから承諾を得ることができました。その結果を政府に報告し、4月13日にガイドラインを改定、ハンドドライヤーの使用停止とした項目を削除したわけです」(同)

 ハンドドライヤーは、1日に1回以上清掃する必要がある。今回の改定は、管理が行き届いているオフィスや工場などのトイレが対象だ。ホテルや飲食店、駅など不特定多数の人が使うトイレでは、別途検討すべきとしている。

 それにしても、ウエストミンスター大学の実験とそれを鵜呑みにした専門家会議には呆れるばかりである。

デイリー新潮取材班

2021年4月21日掲載

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