阪神「佐藤輝明」 このまま活躍できるほどプロの世界は甘くないという“根拠”

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長打力が魅力

 また、ヒット、ホームランになっているコースを見ると、真ん中から少し外角寄りのボールが多く、内角はさばくことができていない。この点は佐藤にとって大きな弱点となっている。大柄な強打者タイプの宿命ではあるが、内角の速いボールを打てるようにならなければ、なかなか成績は上がってこないだろう。

 ただ、17試合で5本塁打というペースは上々であり、どのホームランも持ち味であるパワーが存分に発揮されたものである。打率が2割程度でも、佐藤の打席に期待感が持てるのは、この長打力があるからに他ならない。

 4月14日の広島戦では、前回の対戦で完璧に抑え込まれた森下暢仁から甲子園第1号を放っている。エースクラスを相手にも、甘くなったボールをスタンドに運べるというのはこれ以上ない魅力だ。

 今後、重要になってくるのは、簡単に打率を求めてバッティングを小さくしないことではないだろうか。村上宗隆も一軍に定着した19年はリーグワーストの打率と三振数だったが、36本塁打、96打点をマークして新人王に輝いている。まず目指すべきは、この年の村上というのが現実的なところだろう。

 そうなれば、やはり気になるのが首脳陣の起用法である。新型コロナウイルスの影響で来日が遅れていた新外国人のロハス・ジュニアが一軍に合流した段階でも、佐藤が同じような成績だった時に果たして使い続けることができるのか。今後、チームが優勝争いを演じてくると、その難易度はどんどん高くなってくる。矢野燿大監督の覚悟と忍耐力が問われることは間違いない。

※成績は4月15日試合終了時点

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月16日掲載

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