「鬼滅の刃」で話題の“遊廓” 全国各地に残る「泊まれる遊廓」ベスト3

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 人気アニメや漫画に登場する舞台をたずねる“聖地巡礼”が大人気だ。コスプレ撮影などで地域を盛り上げようという気運もあるという。

 今年はアニメ「鬼滅の刃」遊郭編がテレビ放送される。主人公の炭治郎ら鬼殺隊の一行は見習いとして遊廓に潜入し、人気の花魁に化けた鬼・蕨姫と戦う、というストーリー。ほぼ全編、遊廓が舞台となる。

 しかし、遊廓自体は、もちろん今の日本には存在しない。

 昭和33年に「売春防止法」が施行され、それまで全国各地に点在していた遊廓は事実上消滅した。遊廓跡には、当時の建物が残っているものも多からずあるが、経営者の子孫や家族の暮らす個人宅である場合が多い。いきなり訪問したり、撮影したりするのは迷惑であり、NGだろう。

一人でも泊まれる元遊廓の宿

 一方で、旅館として生まれ変わり、往時の建築の風情を残しながら今も営業している宿が、まだわずかに存在する。

 宿であれば、そこに泊まることで、在りし日の姿に思いを馳せてみることも可能だろう。

 旧満州に遺る遊廓跡を取材したことをきっかけに、遊廓建築の撮影を始めたカメラマン関根虎洸さんが著した『遊廓に泊まる』には、“現役営業中”の14軒の宿が紹介されている。

 その中でも、一人で旅行しても安心して泊まれる元遊廓の宿ベスト3を、関根さんに挙げてもらった。

「初めて行く方に絶対におすすめしたいのが、青森県八戸市の新むつ旅館。明治時代の遊廓の姿をほぼそのまま残している建築自体がすごいです」

 この宿では昔の資料の保存にも力を入れていて、貴重な資料を閲覧できるというのもポイントだ。

「同じ青森の黒石市にある中村旅館もすばらしいです」

 ここは遊廓建築独特の遊び心が随所に見られる宿で、かつ、目玉焼きに塩じゃけ、納豆、お味噌汁……といった正当な日本の朝ごはんが印象に残るという。

「ご主人が磨き好きで、どこもかしこもツヤツヤ。清潔感のある宿といえば山口県萩市の芳和荘です」

 手入れの行き届いた中庭をぐるりと回廊が囲み、そこに各客室が配されている造りで、景観が良い。若い女性からも人気の宿という。

 関根さんによれば、こうした元遊廓の旅館経営者はすでに高齢で、後継者問題が深刻という。近い将来には姿を消してしまうかもしれない。ご興味のある方はいまのうちに訪ねてみてはどうだろうか。

デイリー新潮編集部

2021年4月15日掲載

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