事件現場清掃人は見た 孤独死した男性の部屋で私を切ない気持ちにさせた“古い写真”

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遺品にあった1冊のアルバム

 この時はとりわけ、1冊のアルバムと小さな額に入った写真が目に付いたという。

「アルバムには、男性が20代だった頃の写真が何枚もありました。そして小さな額には、20代と思しき女性の写真が入っていました。私は、その女性を彼の奥さんだと思いました。アルバムの中にも2人で仲良く写っているものが何枚もありましたからね。どうみても、恋人か奥さんにしか見えませんでした。おそらく男性は、先立たれた奥さんの思い出を大切にしながら暮らしていたのではないかと」

 しばらく作業をしていると、今度はタンスと壁の隙間から大きな額に入った同じ女性の写真が出てきたという。

「大きな額を見た瞬間、私はびっくりして、思わず『ああ!』と声をあげてしまいました。タンスは高齢者がひとりで動かせないほど大きなものでした。おそらくタンスの上に飾っていた大きな額が何かの拍子にタンスと壁のすき間に落ちてしまい、取り出すことができなくなったと思われます。そこで男性は、小さな額に女性の似たような写真を入れ、いつも見ていたのではないでしょうか。そう考えると、男性の女性に対する思いがどんなものだったのかが伝わってきて、とても切ない気持ちになりました」

 ところが、後で大家に聞くと、男性は一度も結婚したことはなかったという。

「女性は昔の恋人だったけれども、何らかの事情で結婚はしなかったのではないでしょうか。そうでなくても、彼にとってかけがえのない存在であったことは間違いないと思います。いずれにしても、男性には死ぬまで大切に思える女性がいたということでしょう。孤独死という辛い最期でしたが、私は彼のこの女性を思う気持ちを感じ、ほんの少し救われた気持ちになりました」

デイリー新潮取材班

2021年4月13日掲載

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