宝塚男役「初嶺麿代」と女形舞踏家「夢之丞」の結婚 “いずれ夫婦で男女逆転ショーを”語る

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「エリザベート」での少年ルドルフ役、「風と共に去りぬ」のスカーレットII役など、宝塚歌劇団男役スターとして人気を博した頃が記憶に鮮明な人も多いだろう。初嶺麿代(はつね・まよ)さん(47)は、今、東京・目黒区内と池袋で、女性専用のダンス&フィットネススタジオ「HatsuNe」を経営している。

「2007年に宝塚を卒業後、舞台女優をしていた時、宝塚で“心も体も健康に”という、人として大切なことを学んだと改めて気づいたんです。なので、一般の人たちに宝塚メソッドを気軽にお伝えできる場を作りたくなり、一念発起。14年に一人で起業しました」

 講師陣も宝塚OGを起用。目下、スタジオ生は小学生から70代まで100人以上。起業翌年に「宝塚受験・芸能コース」も開講し、5年間で宝塚音楽学校へ20人もの合格者を出すなど大健闘している。

「結婚願望なんてゼロ。仕事が楽しく、全力疾走し続けてきました。ところが、彼に会って百八十度変わっちゃったんです」

 今年2月3日に、ブログで結婚を発表した。お相手は、舞台役者や大衆演劇の女形として活躍してきた舞踊家の夢之丞(ゆめのじょう)さん(33)だ。

 19年9月の三越劇場での「清水次郎長伝」の共演で知り合った。スタジオ経営で多忙な初嶺さんは、出演依頼の多くを断っていたが、静岡県清水市出身のため、この演目には特別の思いがあった。森の石松役。久しぶりの男役だ。

「殺陣の合わせを僕がサポートしたんですが、“眠たそう”が彼女の第一印象でした。練習の日も本番の日も、終わると急いで帰っていき、ともかく忙しそう。僕が支えてあげなければと思った」(夢之丞さん)

 夢之丞さんは千秋楽が終わるとラインを送り、「電話で話したい」と攻めに出た。結果、その電話の時間と長さが半端じゃなくなった。不眠症に陥っていた初嶺さんに合わせて、夜の12時頃から朝5時頃まで。

「“何に悩んでいるの?”と聞いてくれ、いつの間にか心を開いていろいろな話をしていました。どうやら私は、悩みを悩みとすら気づかずにキャパオーバーしていた……」(初嶺さん)

 夢之丞さんが初嶺さんの心に寄り添えたのは、自身にも辛い経験があったからだ。中学2年の時に酷いいじめに遭い、4年間引きこもったのだという。住み込みで板前修業をしていた20歳の時、大衆演劇の雄・劇団誠の芝居を見て、座長の松井誠に感動した。「目が合った瞬間に、お客さんを幸せにしている」。即弟子入りを決意。「劇団ピラミッドの一番下」の時期を経て、入団5年目から「美しすぎる女形」として注目された。

「電話の幾日目かに、彼がいきなり“結婚しよう”と言い出し、プレゼンが始まったんです。“僕と出会って、おめでとう”“僕と結婚すると、絶対にもっと幸せになるよ”と。とくに根拠はなくても、言葉の力は大きかったですね」(初嶺さん)

「この人には、普通の恋愛の順を踏む時間がない」と考えた夢之丞さんの作戦勝ちだ。電話で結婚すると決めてから会い、日を置かずに同居。そして結婚。

 夢之丞さんの「僕が支えてあげなければ」の初心は、揺るがない。昨年末、劇団をきっぱり辞め、舞踊家として独り立ちする一方、スタジオ「HatsuNe」の運営に携わり始めている。

「男役と女形で、逆転レビューショーをいつかやりたい」と二人は口を揃える。なかなかお目にかかれない夫婦の形である。

週刊新潮 2021年4月1日号掲載