「営業」「砂」「平松?」…ありえない理由で「雨天コールドゲーム」となった3つの試合

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「この終わり方は醜い」

 4月6日に行われた阪神vs巨人(甲子園)の“幕切れ”が、大きな波紋を呼んだ。2対6とリードされた巨人が8回の攻撃に入る直前、突然、降雨コールドゲームが宣告された。責任審判の真鍋勝巳三塁塁審は「5回くらいで限界は近かったが、何とか整備してもらって、クリアできた。7イニング終わったところでもう一度確認して、やっぱり限界を超えている」と、その理由を説明している。

 だが、セ・リーグのアグリーメントでは、通常中断から30分経過後に試合を中止することができると定められている。巨人・原辰徳監督も「ああいう状態ですぐパッと引き下がるわけにもいかない。普通はグラウンド整備をして、中止なら中止というのがあるけども。グラウンド整備をしない状態で中止ということは、なかなかないことだったから」と当惑。試合直後の「六甲おろし」も流れることのない“強制終了”に、虎党からも「この終わり方は醜い」「阪神ファンだけど、納得いかなかった」などと声が上がった。

 ノーゲームなら再試合で仕切り直しできるが、中途半端な形で試合が成立するコールドゲームの場合は、やはり不公平感が否めない。そして、過去にも、雨に泣いたチームや笑ったチームが浮き彫りになった試合が数多くあった。

 雨で試合が4度中断した末、「砂がなくなった」という理由でコールドゲームになったのが、2004年6月9日の横浜vsヤクルト(横浜スタジアム)だ。5対5の8回表、ヤクルトは古田敦也の安打と稲葉篤紀の四球で1死一、二塁の勝ち越し機をつくるが、ここで4度目の中断となり、10分後にコールド引き分けが宣告された。

セ・リーグに質問状

 慣例の30分を待たずに、最終決定した責任審判の渡田均三塁塁審は、3度目の中断の際にグラウンド整備用の砂40袋を使いきったため、「プレーできる状態ではなくなった」と説明した。だが、10分しか待たなかったことに納得できない古田が試合後、同審判に説明を求めるひと幕も。「我々の守備では砂も入れてもらえず、同点だからいいだろうという感じでやってもらったら困る。審判が試合をつくったらダメ」というのが古田の言い分だった。

 この日はヤクルト・若松勉監督も2点をリードしていた7回の横浜攻撃中に中断を要請したにもかかわらず、試合を強行され、直後、ウッズの2ランで同点。監督自らも佐伯貴弘の一ゴロが併殺崩れになったことに抗議した際に、暴力行為で生涯初退場を宣告されるなど、ヤクルトにとっては、踏んだり蹴ったりの雨中戦だった。

 さらに、横浜のグラウンド管理担当者が試合後に「砂はブルペンのほうにいくらでもあるんだよ」と発言したことから、審判団とグラウンドキーパーの意思疎通が不十分だったことまで判明。翌10日、ヤクルト側はセ・リーグに質問状を送付したが、当然の対応だろう。

 一方、“営業優先”の試合強行がもたらした5回コールドにファンの怒りが爆発したのが、01年6月13日の広島vs巨人(広島市民球場)である。両チーム無得点で5回を終了した直後、この瞬間を待っていたように試合が中断され、24分後にコールド引き分けが宣告された。

 試合前から雨模様で、巨人のある選手も「(ドル箱の)巨人戦以外だったら、中止じゃないの?」と皮肉っていたとあって、宣告直後、「詐欺じゃないか!」と怒ったファンがグラウンドに乱入。制止しようとした警備員のボタンが引きちぎられるなどの被害が出た。

 山本浩二監督は「何とも言いようがないな。今年は、引き分けは負けに等しいなあ」とボヤいたが、結果的にこの1引き分けが祟り、広島は勝率で3位・横浜を上回りながらAクラス入りを逃してしまった(同年は勝ち数で順位を決定)。

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