プロ野球のチケット転売合戦もいざ開幕 阪神戦だけで2000件の不正転売

国内 社会 2021年4月7日掲載

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チケット流通センターとチケットジャムで突出

 プロ野球が有観客で開幕し、選手たちが熱戦を繰り広げる中、入場チケットの転売合戦も異常な盛り上がりをみせている。開幕して間もないのに、既に複数のチケット仲介サイトでは、プロ野球チケットの出品件数が数千件にも上り、人気球団の阪神戦だけでも2000件以上、巨人戦も1500件以上という状況だ。

 不正転売が過熱化する背景には、新型コロナウイルス感染対策により球場の入場者数が制限され、入手困難となったチケットの希少価値が悪用されていることがあり、明らかに営利目的での高額出品のケースも目立つ。

 不正転売は法律で規制され、各仲介サイトの利用規約でも禁じられているのに、なぜここまで野放しになっているのだろうか。

 複数あるチケット仲介サイトの中で、プロ野球チケットの出品数が際立つのが、「チケット流通センター」だ。

 同サイトで出品数が1位とされる阪神戦を検索すると、本拠地の甲子園球場とアウェー球場を合わせて1137件(4月3日時点)も引っかかった。「チケット流通センター」のほかにも野球チケットの出品が目立つサイト「チケットジャム」でも同様に検索すると、阪神戦は950件以上もヒット。主要2サイトだけでも2000件に及び、突出している。

 巨人戦についても、阪神戦まではいかないものの、「チケット流通センター」だけで1000件以上の出品が確認できた。

 そもそも、プロ野球の「試合観戦契約約款」でも営利目的のチケット転売は禁じられ、球団の正規販売しか行っていない阪神や巨人など多くの球団は、仲介サイトでのリセール(二次販売)を認めていない。したがって、各仲介サイトに出品されているチケットは全て球団非公認の「不正転売」ということになる。

シーズンシート席の転売などが横行

 しかも、「チケット流通センター」では、同サイトと協業してリセールを公認している一部球団(オリックス、日本ハム、千葉ロッテ、西武ライオンズ)以外は球団非公認にもかかわらず、球団ごと、試合日程ごとに検索できるという、非常に丁寧な仕組みになっている。

 もちろん非公認の球団側からしたら、正規ルートでの販売の妨げにもなりかねず、たまったものではないだろう。

 開幕から2週間足らず。

 各球団が一般販売している日程がまだ少ない中でこれほど転売が横行しているのは、ファンクラブ会員の優先席チケットや、年間を通して同じ席を契約するシーズンシートのチケットが多数出品されていることが要因としてあるようだ。中には出品価格が正規価格の5~10倍にも及ぶものもあった。

 ある球団関係者は、「転売は、球団が設定した適正価格での平等な観戦機会を奪うことになる。ファンクラブ会員やシーズンシート契約者は、本来は球団の熱心なファンという前提でチケットを買ってもらっているはずなのに、それが不正転売につながっているのは悲しいことだ」と嘆く。

「チケット流通センター」など各仲介サイトに出品されているチケットの中には、出品価格が正規販売価格と同額かそれ以下に設定され、急用等で球場に行けなくなり、やむを得ず出品したとみられるケースもある。

 また、先述の一部球団は「チケット流通センター」を球団公認のリセールサイトとして、正規販売価格と同額かそれ以下での出品は認めている。

 球団としては、不測の事態で来場できなくなったファンによる出品を通じ、球団の一次販売ルートで購入できなかったファンを救うことができるため、一部球団がリセールを公認する理由は理解できる。

 だが、仲介サイトによっては、身分確認をすることなしにメールアドレスや電話番号だけで取引できるサイトもあるため、「公認リセールといっても、仲介サイトは本人確認が非常に甘いため、悪質な転売ヤーにとっては、匿名性を保ちながらチケットを大量に仕入れる格好の場となっている」(球界関係者)といい、公認リセールサイトが不正転売を助長している一面も否定できない。

 実際に、公認リセールサイトで低額購入したチケットを別の仲介サイトで高額転売するというケースも複数球団で確認されているといい、悪質な転売ヤーの存在に、多くの球団が頭を悩ませているようだ。

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