検察審査会は賭け麻雀で黒川弘務氏だけを「起訴相当」 法の下の平等はどこへいった?

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 罰金20万円の略式命令。1年にわたって続いた黒川弘務・元東京高検検事長(64)の「賭け麻雀問題」がようやく決着した。一方、一緒に麻雀をしていた他の3人の記者らは不起訴(起訴猶予)に。同じ賭け麻雀をしながら処分が分かれた原因は、検察審査会(検審)が黒川氏とほか3人とで、異なる議決を出したからだった。

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賭博罪とは……

 発端は「文春砲」だった。昨年5月、コロナ禍の真っ最中に、産経新聞記者宅で黒川氏が記者ら3人と賭け麻雀に興じていたことを「週刊文春」がスクープ。次期検事総長に事実上“内定”していた黒川氏だったが、辞任に追い込まれることになった。

 だが、ことはこれで終わらなかった。日本には賭博罪がある。彼らがやっていた賭け麻雀のレートは1000点100円、俗に「テンピン」と呼ばれる、サラリーマンが娯楽として興じている範疇のレートであったが、“法を犯した事実に変わらない”、“4人を罪に問うべきだ”という世論が高まったのだ。

 市民団体の刑事告発を受け、東京地検特捜部が捜査に入ったが、昨年7月に出た結論は全員不起訴(起訴猶予)処分。なぜ不起訴になったかについて、検察関係者が解説する。

「賭博罪は、暴力団組織などが市民の射幸心に付け入って高額の賭博に引き込まないよう防止するためのもので、娯楽でギャンブルを楽しむ人を取り締まるような意図で運用されている法律ではないからです」

 賭博罪の保護法益は、最高裁判例で国民の健全な経済・勤労観念と、副次的犯罪の防止とされている。つまり国民がギャンブルにのめり込んで真面目に働く意欲をなくし、 ギャンブルで作った借金返済などのために窃盗や強盗といった犯罪に走ることを防ぐた めに制定された法律なのだ。

「ですから今回の4人のように、きちんとした定職についていて、レートも一般サラリーマンレベルの賭けマージャンについて、捜査当局は立件してこなかったのです」(同)

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