「北朝鮮のスパイ政権」ではないのかと指摘される「文在寅」の野望

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神経を逆なでされても「ラブコール」を続ける

 韓国は大統領を筆頭に、北朝鮮に対して支援の打診や対話の提案など、絶え間ない「ラブコール」を送り続けてきた。一方で北は、その神経を逆なでするような態度を取り続けているわけだが、文大統領が不快感を表すことはなかった。文政権は「超・親北朝鮮政権」なのか、それを超えて、「北朝鮮のスパイ政権」ではないのかとまで、一部の国民は疑いの視線を向けているという。

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《私も文在寅政府に捨てられないか心配だ、北朝鮮で死んだ公務員のように》

 これは、大統領府に置かれた国民請願の掲示板に書き込まれた請願文のタイトルだ。

 昨年9月25日、公務員A氏が延坪島海域で北朝鮮に殺害され、韓国国民は大いに憤ったが、政権は“越北者”の烙印を押して事件を終わらせた。

 韓国国民は、文在寅政府が自国民より北朝鮮政権の顔色をうかがっているという疑念を拭いきれずにいる。

 この数年、政府は金正恩が望む「終戦宣言」や「米韓軍事訓練の中断」を「平和」と規定し、遂行する努力にまい進してきたと言えるだろう。

 文大統領は2018年9月、北朝鮮の平壌で平和統一を祈願する「平壌大宣言」を行い、金正恩夫妻と白頭山に登るというショーを行った。

 一方、北朝鮮は「非核化する」といいながら核兵器を開発し、新型ミサイル実験などで日本と韓国、米国を威嚇し続けた。

 度重なるミサイル挑発と閲兵式での軍事宣伝運動、さらには南北共同連絡事務所を爆破した北朝鮮政権に対し、文在寅政権は、いまだ「ラブコール」を続けている。

「外部物資の支援を受けない」金正恩

 昨年6月15日には、与党国会議員173人が「韓半島終戦宣言要求決議案」を発議し、統一部は対北朝鮮ビラと米の入ったペットボトルを散布した2つの脱北者団体を南北交流協力法違反などの疑いで警察に引き渡した。

 同じく12月には、米国務省などが北朝鮮は人権侵害国家だとの理由で反対したにもかかわらず、「対北朝鮮ビラ散布禁止法」を通過させている。

 北朝鮮を政策的、制度的、法的にサポートするとしか思えないスタンスである。

 今年に入ってからもその姿勢は変わらず、2月には産業資源部が北朝鮮に原発を建設する案や、公共放送KBSが受信料を引き上げて平壌に支局を開設する計画が浮上。

 さらに、ソウル市が北朝鮮への支援として食糧費10億ウォン(約9800万円)の予算を編成したことも明らかになった。これまで韓国政府からの数回にわたる支援を拒否し、関係を改善する意志も見られない北朝鮮に対して、今度は地方自治体がバラマキに乗り出した格好だ。

 ソウル市が計画する対北朝鮮関連予算は、約92億5400万ウォン(約9億円)。

 内訳は、食糧支援と水質改善協力費がそれぞれ10億ウォン(約9800万円)、平壌と共同の国際スポーツ大会開催費16億ウォン(約1億5600万円)など。

 ソウル市は長引く制裁、新型コロナ、自然災害などで苦しむ北朝鮮への、あくまでも人道支援を強調するが、送られる側の金正恩労働党総書記はといえば、昨年8月、「外部物資の支援を受けない」と表明している。

 決して口先だけの話ではない。昨年11月には、韓国統一部が国連世界食糧計画(WFP)を通じて北朝鮮にコメ5万トンを支援するため、1177万ドル(約13億円)の予算案を検討したが、北朝鮮が米韓合同訓練を批判して受け取りを拒否し、実現しなかった。

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