セブンが東大阪“時短店”の駐車場に出店計画 元オーナーは「和解も拒否。徹底的に闘う」

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

土地を分筆

 セブン側は突然、松本氏に通告してきたという。

「3月26日に公判が予定されていたのですが、前日の25日に『店舗を引き渡さない限り、3月29日から着工する』と通告してきました。翌日、法廷で弁護士が厳重に抗議し、裁判所も間に入ってくれて延期になりました。要するに嫌がらせなんです」(同・松本氏)

 セブン側は「東大阪南上小阪店」の建っている土地の所有者と交渉し、わざわざ駐車場の敷地を分筆して仮店舗の建設予定地とした。

 松本氏は「店舗と駐車場は一体の施設。勝手に仮店舗を作るのは許されない」との指摘を逃れるため、登記で土地を2つに分けたのではないかと見ている。

「文筆した土地はコンビニや駐車場とは無関係、というわけです。この主張が認められると、建設差し止めを求める仮処分を申請しようとしても、新たに提訴する必要があります。資金のない私にとって、新しい法的措置を講じるのは厳しいものがあります。セブン側は、そうしたことも計算済みなのでしょう」(同)

マスコミも注視

 もともと松本氏は長年、工務店を経営していた。リーマンショックで経営が厳しくなり、セブン-イレブンの募集に応募した。

 自分が所有する土地や店舗を使ってセブン-イレブンのコンビニを経営するオーナーは、今や少数派だ。

 多くは松本氏のように、セブン側が土地を借り、そこに建てたコンビニで働くのが一般的だという。

 松本氏は「ここまでされたのですから、セブンとは断固として、徹底的に戦います」と言う。

「駐車場に新たなコンビニを建てるなど、非常識としか言いようがありません。仮店舗を建てる理由をセブン側は『買い物や防犯のため、近隣住民が営業を再開してほしいと言っている』と説明していますが、偽善と言わざるを得ません。それなら私が現場に戻ればいいだけでしょう。裁判所から勧められた和解には応じず、徹底的に争うことにしました」

 改めてセブン-イレブンについて感想を訊くと、「セブン側の態度には怒りも通り越して、情けなくなりますね」と苦笑する。

「セブン-イレブンという企業の本質が、はっきり見えてきたのではないでしょうか。仮店舗を建てたら、近隣の人たちや、マスコミの皆さんはどう判断されるでしょうか。何よりも、2つのコンビニが建った映像がテレビのニュース番組で流されたとしたら、視聴者の皆さんはどんな感想をお持ちになるでしょうか」

 そして4月1日、セブン-イレブンは駐車場部分に「仮店舗」をつくる工事を始めた。

デイリー新潮取材班

2021年4月2日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。