無印良品ソックリと話題の渋谷「300円ダイソー」 商品開発のプロはどう評価するか

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似せたのではなく、似ちゃった?

 渡辺氏は「真似というのはちょっと違うと思います」として、次のように続ける。

「販売価格を抑え、かつ“ちょっといい”を打ち出し、そして万人に受ける日用品を売る……これらの条件を満たすと、どうしてもシンプルなものに行きついてしまうのだと思います。だからスタンダードプロダクツは、結果的に無印良品に似てしまった。見方をかえれば、無印良品は自身のシンプルさが“アダとなった”といえるかもしれませんね。いま、渋谷は“日用品戦争”の様相を呈しており、低価格帯の日用品を販売する、IKEAやフライング タイガー コペンハーゲン、AWESOME STOREも出店しています。これらには北欧テイストやアメリカンなど、個性的な世界観がある。裏をかえせば人を選ぶ、デザイン代にもお金がかかる世界観です。これらの店の商品とスタンダードプロダクツは競合しないわけで、もっとも影響を受けるのは、やはり無印良品でしょうね」

 無印良品は、昨年10月に衣料品、今年1月には雑貨の価格見直しをはかったばかり。世界観が近い、より安い価格帯のライバルが現れた形だ。「もともと無印良品は“ブランド料”を値段に載せすぎなんですよ」(アパレル関係者)なんて声もあるが、今後はどのように戦っていくのだろうか。

「ダイソーが参入してくるかどうかはさておき、無印良品も同じ路線でより安く売るライバルの登場を予測していたのでしょう。ブランド価値をより高める先手を打っています。一昨年、銀座にホテルを開店した(MUJI HOTEL GINZA)のも、ブランドを深化させる取り組みでしょう。また、先日『東京有明』店を訪れた際には、暮らしのすべてを無印良品で揃えられるようにする、多様化の方向性を感じました。ここは昨年12月に有明ガーデン内にオープンした店舗で、お米や野菜を扱い、カレーパンが売りのベーカリーも備えています。戸建住宅まで売っていて、コンセプトは『百貨店を超える“百八貨店”』。今後は1980年から続くブランドを、より強く打ち出していくのだと思います」

 スタンダードプロダクツについてもはこんな意見だ。

「100円ショップの歴史が長いダイソーには、これまでの商品開発の過程で“もうちょっと高く売れるなら実現できるのに”というアイデアが溜まっていたはずです。今後は、そうした商品もどんどん登場していくはず。そうなると、今のような“無印良品に似ている”方向性からは、いい意味で離れていくかもしれませんね」

デイリー新潮取材班

2021年3月31日掲載

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