なぜかワニやミミズを食べていた…変な趣味を持ったプロ野球「助っ人列伝」

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チームメイトから愛されたナイスガイ

 今年もメジャー通算196本塁打のスイッチヒッター、ジャスティン・スモーク(巨人)、昨年韓国で本塁打、打点の二冠を獲得したメル・ロハス・ジュニア(阪神)ら、期待の新外国人が日本球界でプレーすることになった。彼らの野球での実績もさることながら、プライベートでも、趣味や食べ物の嗜好、特技など、それがユニークであればあるほど、ファンへの大きなアピール材料になる。野球以外でも強烈な個性を発揮し、今もファンの記憶に残るかつての助っ人たちを振り返ってみたい。

 ワニ肉を食べる男として人気を博したのが、1989年にヤクルト入りしたラリー・パリッシュである。メジャー通算256本塁打の長距離砲は、入団会見で好きな食べ物を聞かれ、「(出身地)フロリダでは普通に食べるワニの肉だ」と答えたことから、“ワニ男”の異名を頂戴する。

 当時都内に1軒だけワニ肉を提供する店があり、パリッシュはこの店に通ってスタミナをつけた。その甲斐があってか、1年目は打率.268、42本塁打で本塁打王になったが、三振も129と多かったことから、オフに就任した野村克也監督に嫌われ、まさかの自由契約に。

 だが、メジャー復帰のセシル・フィルダーに代わる主砲を探していた阪神が獲得に動き、翌年もまた日本でプレーすることになった。2年目も8月下旬までリーグトップの28本塁打を記録したが、古傷の左膝が悪化し、同27日のヤクルト戦を最後に無念の退団、帰国となる。

 同年は34本塁打の落合博満(中日)がタイトルを手にしているので、パリッシュも残り23試合を代打に専念すれば、2年連続で本塁打王の可能性もあった。だが、「来年いない選手を使う必要はない」という球団関係者の声が耳に入り、自ら身を引く決心をした。

 そんな裏事情などおくびにも出さず、「今僕が去ることで、若手選手を起用できる。悔いは残るが、それがチームのため」と言い切ったナイスガイは、シーズン途中退団にもかかわらず、最終試合終了後、平田勝男選手会長の音頭取りで送別会が開かれるなど、チームメイトからも愛されていた。

「グッド・プロテイン」

 ヤクルトにはもう一人、“ミミズを食べる男”レックス・ハドラーも在籍していた。“事件”が起きたのは、オープン戦の広島戦が中止になった93年3月10日。水を含んだ人工芝の上で軽いウォーミングアップをしていた三塁手のジャック・ハウエルが約15センチのミミズを発見したことがきっかけだった。

 ハウエルは「今からハドラーがこのミミズを食べるってさ。1人5000円の賞金でどうだ?」とナインに持ち掛けた。当初はみんな「まさか」と苦笑したが、ハドラーがやる気満々なのを見て、興味を示しはじめた。一人の選手が「じゃあ、2000円を出すから食べてみなよ」と冷やかし半分に応じると、ハドラーは口を開けながら、ハウエルが2本の指でつまみ上げたミミズをゴクリと飲み込んだばかりでなく、モグモグと噛み砕いて見せた。

 あまりの気持ち悪さに吐き気をこらえる選手もいるなか、余裕の表情で“食事”を終えたハドラーは、「グッド・テースト。グッド・プロテイン(タンパク質)。アメリカのミミズは酸っぱいけど、ジャパニーズは美味しいよ」と笑みを浮かべ、賞金約6万円を手にした。

 さらにシーズン開幕後も、6月29日の横浜戦が雨天中止になると、三塁側ベンチ付近で発見したアリを噛みたばこと一緒に飲み込み、「グッド・フレーバー(香り)」とキメのセリフを口にした。

 これらの“悪食パフォーマンス”は、雨天中止でネタ不足に陥った報道陣へのサービスという意味合いもあったようだ。ゲテ物に限らず、刺身や玉子かけご飯、ウニも好んで食べ、日本の食文化にもすっかり溶け込んでいた。同年は打率.300、14本塁打、64打点とまずまずの成績を挙げたが、“ザ・チャランポラン”といわれた軽率な内野守備が災いし、たった1年で解雇されてしまった。

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