「俺の家の話」で長瀬が有終の美、あまりに切ない最終回にホームドラマの王道を感じた

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 TOKIOの長瀬智也(42)の引退ドラマ「俺の家の話」(TBS)が3月26日、全10話の放送を終えた。クドカンこと宮藤官九郎氏(50)が脚本を書いたこのドラマはスタート時から評判が高く、長瀬は有終の美を飾った。4月以降は音楽クリエイターに転身する。

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 第9話までは笑いと涙の物語だったが、最終回は一転、哀感に満ちた。説明するまでもなく、長瀬が演じた主人公でプロレスラーの観山寿一が、引退試合で事故死を遂げたからである。

 寿一は17歳で家を飛び出したものの、父親で人間国宝の能楽師である寿三郎(西田敏行、73)が脳梗塞で倒れたことから、25年ぶりに家に戻った。その後は寿三郎の介護や健康回復に努めていたが、自分が先に逝ってしまった。

 切ない展開となったものの、逆縁は世間でも稀な話ではない。クドカンは第9話までに介護や遺産争い、離婚など誰にでも起こり得る不幸せを描いたが、逆縁も同じ。それを寿三郎はなかなか現実として受け止められなかった。逆縁を経験した世間の多くの親と一緒である。

 クドカンのドラマは抱腹絶倒のギャグが満載される一方、ホロリと泣かせる。その上、リアリティーもある。2013年度前期「あまちゃん」が好例。希代の脚本家にほかならない。

 寿一の死は突然だったものの、見る側に不意打ちを食らわせたのかというと、そうではなかった。第9話でサインが出ていた。

 寿三郎は計3度目の脳梗塞で危篤に陥ったが、寿一や家族、能の門下生らが「肝っ玉! しこたま! さんたま!」と激励の掛け声を上げ続けると、奇跡的に蘇る。全員で寿三郎を死から生に引き戻した感動的な場面だった。

 ところが、この後、寿一による「だが、奇跡は一度しか起こらなかった」というナレーションが入った。直後に引退試合が控えていたのだから、胸騒ぎをおぼえた人は少なくないはずである。

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