ファンから批判殺到BTS「風刺画」は“アジア人差別”か カード会社の意図は別の所に

エンタメ 芸能 2021年3月28日掲載

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 今年の米グラミー賞にノミネートされ、日本でも連日メディアで取り上げられた韓国の男性アイドルグループBTS(防弾少年団)。15日(日本時間)にグラミー賞の授賞式が行われると、マスコミ各社はこぞってBTSが受賞を逃した一報を配信した。

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 グラミー賞ノミネートと平行して、米国企業「Topps社」が作成したBTS版「モグラ叩き」カードが話題になっている。「人種差別的な描写をした」として、Topps社にファンなどから批判が殺到したのだ。

 このカードの正式名は「2021 Topps Garbage Pail Kids: The Shammy Awards」。グラミー賞を題材にしたシリーズで、今年はBTSの他に、テイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュといった米人気歌手がカード化された。

 問題となったBTSのカードでは、メンバーをモグラ叩きゲームのモグラに模しただけでなく、グラミー賞のトロフィーに似せた蓄音機で殴られたように描かれている。これに韓国メディアが黙っているはずもなく、Topps社を猛批判した。

 一例を挙げると、

〈テイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュなどほかのアーティストの場合はグラミー賞のステージが反映され、表現されている。防弾少年団だけ面白おかしく描写したというわけだ。サディスティックな面も際立っている〉(朝鮮日報日本語版 『モグラたたきでやられた防弾少年団…米カードメーカーが「人種差別」で袋だたきに』)

 といった案配だ。

 しかし、同社から発売された他のカードをよくよく見てみると、韓国メディアが報じるような“人種差別報道”とはニュアンスが異なる一面があるという。

 米国事情に詳しいジャーナリストの林雪絵氏によれば、

「アメリカで人気トップの歌手テイラー・スウィフトは木と森を一体化した妖怪のように描かれ、“TREE-SWAIFT”という文字が入っています。テイラーとツリーの音の響きが似ているから、洒落でかけているんです」

 また、

「メーガン・ザ・スタリオンという女性ラッパーは、種馬に乗っています。スタリオンには種馬という意味があり、これも洒落ですね」

 スタリオンには、スラングで「絶倫の男」という意味もある。もしBTSのカードがアジア人差別であるならば、アフリカ系で女性であるメーガン・ザ・スタリオンのカードも、“女性蔑視”“アフリカ系差別”ということになりかねない。

 これまでの同カードのシリーズを振り返っても、過激な表現は人種に関わらず行われている。例えば2017年には、バストが大きくセクシーな衣装の多い白人歌手ケイティ―・ペリーを、乳房の先端からロケットを発射する姿で描いている。また、2016年は、アフリカ系ラッパーのカニエ・ウェストが白人の頭を踏みつけにしてグラミー賞のトロフィーを無理やり手にする暴力的な絵が描かれ、ウェストとかけて“KANYE PEST(やっかい者や害虫の意)”と記載された。

 つまりこのカードの趣旨の一つは、

「満遍なくふざけたジョークを織り交ぜながら、その年のグラミー賞候補者たちを人種や性別に関わらずパロディ化するのが目的です」(先の林氏)

 これはBTSも同様で、

「BTSのカードには、“BOPPING K-POP(Kポップをぶっ叩け)”という文言が書かれていますが、これも洒落で、バップとポップをかけているんですね。バップの前にbeをつけるとbebop、ビーバップという音楽用語になり、軽快で楽しいイメージがあります。ビーバップとケーポップで響きが似ているため、バップを使うという発想が出て来て、バップには叩くという意味もあるのでモグラ叩きを思い付いたのでしょう。テイラーやスタリオンと同じ、洒落ありきの発想です」

ディカプリオは生きたまま熊に食べられて…。

 韓国メディアの指摘する、“サディスティックな面”というのも、アジア人だけに向けられているわけではない。

 代表的な事例は、Topps社が2016年にアカデミー賞候補者を題材にしたカードだろう。アカデミー賞に縁遠かったレオナルド・ディカプリオを“LAST CHANCE LEONARDO”と皮肉った挙句、主演作に熊との格闘シーンがあるのを茶化し、生きたまま熊に食べられているイラストをカードにした。

 女優のジェニファー・ローレンスに至っては、モップでビジネスを思いつく、という役柄を演じたために、首から上が切断され、頭部部分がモップになっている絵が描かれた。

 先の林氏曰く、

「そもそもこのカードは、Topps社のウェブ上で期間限定販売されるこぢんまりとした企画です。ターゲットは、こうしたシニカルなデザインが好きなトレーディング・カード収集家だったのです」

 という。

 在米ジャーナリストが、現地の反応をこう解説する。

「今回の騒動はCNN、Forbes、USA Todayなどでも報じられましたが、韓国や日本ほど話題になっていないんです。ヤフーUSAの『検索トレンド』にも入っていませんからね」

 さらには、

「事の発端は、BTS関連のものなら何でもサーチする一部の熱狂的なファンが、このカードの宣材写真を見つけてインターネット上で拡散したのがきっかけです。米国では、深刻な人権問題に抵触するBlack Lives Matter運動や、コロナ禍以降、大勢のアジア系の住民が、人種差別による被害にあってきた。一部の熱烈なファンがこうした問題と、BTSのカードを結びつけて『これはアジア系に対する人種差別だ!』と猛批判し始めたのです」

 こうした風刺絵をどう解釈するかは見た人に委ねられるのが大前提だとしつつ、

「モグラ叩きカードでは、“BOPPING K-POP(Kポップをぶっ叩け)”という言葉それ自体も批判されました。これをTopps社の考えと単純に解釈するのは早計です。言葉遊びと共に、賞としての在り方を揶揄した意味も込められていると解釈出来ます」

 実は過去に、Topps社は人種差別問題に切り込んだカードも作成しているという。

「例えば2016年のアカデミー賞では、俳優部門を白人が独占したために、“白過ぎるオスカー”と批判を浴びました。この年、Topps社は、白人だらけの俳優に囲まれるアフリカ系の司会者クリス・ロックが困惑する絵をカードにしています。司会者をアフリカ系にしたものの、授賞者は白人ばかりだったアカデミー賞を揶揄したように、アジア人差別と批判されないようノミネートはさせるけど、賞をあげる気はないグラミー賞の体質を揶揄した文言と解釈する方が自然です」(同)

 そう聞くと、カードの絵の捉え方も異なってくるが、Topps社は発売前の画像公開時からBTSファンを中心としたインターネットユーザーに糾弾され続け、BTSのカードの発売中止を発表。公式に謝罪もした。

 ところが、熱烈なBTSファンの怒りは収まらず、「謝罪に誠意がない」「具体的な問題点を指摘せず形ばかりの謝罪をした」と、いまだに批判を続けているのだ。

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