結局、「菅首相」ではなく、「創価学会・公明党」が決定権を握る「解散日程」、ホントのところ

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読売新聞の記事

 永田町で解散風が少しだけ吹いた。きっかけは読売新聞の記事だが、菅政権発足から半年が経過し、衆院議員の任期切れまで7ヶ月を切った中、解散の話題は大きくなるばかり。解散は首相の専権事項とされているが、どうやらホントはそうでもないようで……。

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 3月19日付の読売新聞は、《自民内に春解散論 「コロナ収束せず」懸念も 五輪後の「秋」期待高く》というタイトルで、ざっとこんな風に報じた。

〈自民党内で、春の衆院解散・総選挙の可能性が取りざたされている。菅首相が外交で見せ場を作り、デジタル庁創設など目玉政策に道筋がつけば、内閣支持率の回復につながるとの期待感からだ。ただ、新型コロナウイルス感染の収束見通しは立っておらず、「当面は衆院解散どころではない」との懸念は強い〉

〈自民党の森山裕国会対策委員長は18日のCS番組収録で、衆院解散・総選挙について「国民に信を問わなければならないことが起きたら、(首相は)ちゅうちょなくおやりになると思う」と語った〉

〈党内でささやかれているのが、「4月下旬解散-5月衆院選」とのシナリオだ。首相は、訪米に続いて春の大型連休中の外遊も検討しており、露出は高まる。4月中旬には高齢者へのワクチン接種が始まり、下旬にはデジタル改革関連法案の成立が見込まれる。携帯電話料金の引き下げも本格化する〉

〈ただ、緊急事態宣言の全面解除で、大型連休前後に感染が再拡大するリバウンドが懸念される。「ワクチン接種で負担を強いられる自治体が反発し、国民に政局優先と批判される恐れがある」(閣僚経験者)との慎重論も根強い〉

その場合には協力できないし、協力しない

 読売新聞ではないメディアの政治部デスクに聞くと、

「官邸では、主として首都圏の新規感染者数のシミュレーションを行っていましたが、これまでことごとく、最良・普通・最悪で言うと、常に最悪のシナリオになってきました。だから今回の緊急事態宣言明けの数字が最悪で推移するとなると、4月に入ったら中旬には新規感染者が1000人に達する可能性があります。実はワクチン供給も遅れています。そんなタイミングで伝家の宝刀を抜くというのは現実的ではないですよね。世間もそう見ますし、ワイドショーから報道番組まで全て、“なんで今なの?”キャンペーンが展開されるでしょうから、難しいように思いますね」

 まさに、読売の記事内で「閣僚経験者」が指摘する通りの中身だ。

 読売記事は、こう続く。

〈「春解散」を見送れば、7月4日投開票の東京都議選との同日選が候補になる。これには、都議選に集中したい公明党が難色を示す〉

 再び政治部デスクによると、

「解散は首相の専権事項ですが、自民党は公明党なしにはもはや選挙を戦えないので、支持母体である創価学会と公明党の意思に反する行動はほぼ取れません。都議選という名前はついていますが、全国の学会員はこぞって上京し、“投票をお願いしますね”作戦を展開することになります。全力でやりますから疲弊しますしお金もかかる。一応、学会の施設はあるんですが、それでは足りないくらい東京に学会員が集結するようです」

 そこに解散が重なれば……。

「それぞれの地元の、しかも友党とはいえ他党である自民党候補のための応援もしなければならない。学会の最高幹部は、“解散をするのは首相の決断なので止めることはできないが、その場合には協力できないし、協力しない”などと話しているようです。学会との関係構築に誰よりも腐心してきた菅さんはそんなことを百も承知で、無理やり解散に打って出るとは思えません」

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