支持率は過去最低 「文在寅が家賃難民を作った」「早く政権交代を」の声と不動産政策の大失敗

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どこで狂いだしたのか?

 韓国の土地開発などを手がける公共機関、韓国土地住宅公社(LH)。その職員約10人が、ソウル近郊の地域が「新都市」に指定される前に同地域の土地を約100億ウォン(約9億5200万円)で購入したとの疑惑が持ち上がり、自殺者も出て波紋が広がっている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は徹底的な調査と厳正な対応を指示したが、国民の怒りはむしろ、これまでの文大統領による不動産政策の大失敗に向けられ、直近の調査で支持率は過去最低を記録した。

 文大統領は疑惑が持ち上がった計画に関し、国土交通部とLH、関係公共機関の宅地開発関連部署の所属職員、家族らのすべての土地取引を調査するよう指示した。

 こうしたなか、韓国土地住宅公社の職員の幹部2人が3月12日と13日に相次いで自殺。

 文大統領は12日、一連の問題について、「現在まで表れたものは氷山の一角かもしれない」「公職者とLH役職員の家族、親戚を含め、借名取引の有無も徹底して捜査すべき」とし、「国民の怒りを直視して過去の問題を清算し、社会の公正を立て直すきっかけにしよう」と強調。

 さらに文大統領は「投機の全貌をすべて明らかにする必要がある」「不正な投機利益を没収する方策も速かに講じなければいけない」と付け加えた。

 もっとも、国民の怒りは今回の疑惑というよりはむしろ、文大統領の掲げた不動産政策がことごとく失敗に終わってきたことに向かっている。

 そもそも不動産政策はどこで狂いだしたのか?

住宅供給のブレーキとアクセルを踏み間違えた

 文政権の発足当初から不動産価格は上昇していたが、それは需要が増えたからだった。

 入居希望者は目白押し。価格は青天井で跳ね上がった。

 韓国に限らないことだが、この恩恵を受けたのは富裕層のみで、不動産などの財産を持たない庶民たちは不公平感を抱き始めた。

 この状況を受けて文大統領は「住宅価格高騰で限られた者だけが果実を得るのは正義ではない」と訴えた。

 市場経済の原理を「不公平」と主張するのは、ある意味で、人権派弁護士の大統領らしいとは言える。

 ところが、問題は「正義」のための具体策だ。

 文大統領の不動産政策の主たる狙いは、簡単に言ってしまえば供給を減らすことだった。こうすれば投機目的で買う者を減らせる、という理屈だろうか。

 実際にソウル市のマンション供給戸数の推移を見ると、文政権以前に年間4万戸前後で推移していた住宅供給は、文政権に入り半分近くに減少した。

 しかしこれで価格が落ち着くはずがない。当然、不動産価格はうなぎ上りで高騰していく。

 そういった住宅価格高騰について、「投機家たちがむやみに行う不動産取引のせい」だと文大統領は分析し、不動産「供給減」政策を緩めることはしなかった。

 3月15日、韓国国土交通部は「2021年 共同住宅公示価格(案)」を発表。それによると、文政権成立までは全国平均で、例年、前年比5%台の上昇で推移していた公示価格が、昨年1年だけで19.08%も上昇。

 文政権発足時と比較すると、ソウルのマンションは72.83%も暴騰し、住宅平均価格はとうとう9億ウォン(約8700万円)を超えた。

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