小田急ロマンスカーが車内販売を終了、120年前に始まった鉄道の供食サービスも終焉へ

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新たな供食サービス

 そんな逆風下にある鉄道車内の飲食だが、新たな商機も生まれつつある。2013年にJR九州が運行を開始した「ななつ星in九州」は、豪華絢爛な車内設備や食事が話題を呼び、多くの利用者を集めた。ななつ星が革命的だったのは、これまで移動手段だった列車に乗るという行為を目的へと変えたことだった。

 ななつ星の成功に刺激を受け、各社も工夫を凝らした列車の運行を開始。豪華な飲食を伴う観光列車はあちこちで見られるようになった。こうした列車は従来の供食サービスとは異なるので、クルーズトレインと呼び分けられている。

 クルーズトレインは路線網が長大で、乗車時間が長いJRだけの専売特許ではない。路線が短い私鉄や第3セクターにも登場している。

 コロナにより、クルーズトレインも運行休止を余儀なくされている。しかし、クルーズトレインが鉄道業界における飲食の概念を大きく変えたことは間違いない。

 鉄道と飲食、時代を越えて新しい関係が築かれようとしている。

小川裕夫/フリーランスライター

デイリー新潮取材班編集

2021年3月17日掲載

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