「大戸屋」がデパ地下総菜に参入 きんぴら“100g400円”を「セブン」「ライフ」と食べ比べ

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「筑前煮」食べ比べ

2.筑前煮(大戸屋「お野菜たっぷりの筑前煮」400円【1グラム4円】、セブンプレミアム「筑前煮」257円【145グラム入り、1グラム1.8円】)

渡辺:1グラム当たりの金額だときんぴら以上の価格差がありますね。

掃夫:大戸屋の筑前煮は上品でおいしい。これは混布のダシを多めで炊いていますね。おそらく里芋もちゃんと下茹でしてから油で炒めているでしょうし、彩りを加えるインゲンマメも美しい。

渡辺:セブンのほうが、醤油の味がするのはわかる気がする。

掃夫:目隠ししてもわかるくらい違いますよ! セブンの筑前煮は家庭的な味。大戸屋は小料理屋さんとか割烹で食べる味と言ったら伝わるでしょうか。

「かぼちゃの煮つけ」食べ比べ

3.カボチャの煮つけ(大戸屋「かぼちゃのほっこり煮」400円【1グラム4円】、ライフ「かぼちゃ煮」311円【1グラム3.1円】)

渡辺:僕はかぼちゃ食べられないので、これは掃夫さんの感想だけお願いします。

掃夫:見た目でもわかるように、大戸屋は全体がしっとりと味がしみるように煮ています。ホクホクが好きな人はライフのほうがいいと言うかもしれませんが、お酒飲むときにはしっとりのほうがいいんですよ。素材の味を生かしながらダシで味に深みをつけて、家庭じゃこうはいきませんよ。

渡辺:総合的にいって「大戸屋 おかず処」は高いけど味には納得した?

掃夫:はい。「大戸屋 おかず処」は文句なしにおいしかったです。これまでの大戸屋のイメージを超えたと言ってもいいくらいです。

渡辺:でも、これと同じ味を通常の店舗でも出すのは難しいと思うし、どのお客様を狙っているのかがピンと来ない。

掃夫:同感です。それこそ「大戸屋 おかず処」は、食材のこだわりとできたてが組み合わさって生まれた味で、セントラルキッチンで少しでも安く提供しようという方向とは正反対。1パック400円のお惣菜をためらいなく買える層なら、定食でも1000円に近づいてもおいしさを重視する気がしますよね。

渡辺:デパ地下はまだ実験段階だからなのかもしれませんが、同じブランドで味が異なるのは問題だと思う。あと、僕は今後の外食業界は、店内調理の意義が大きくなっていくと思っています。リアル店舗で値下げ路線は短期的にはうまくいっても、中長期的には中食とガチンコ勝負となると厳しくなってくると見ています。

掃夫:外食も中食もどっちもやるのが“食の総合カンパニー”を目指すという社長の真意なのだと思いました。

渡辺:魚だけじゃなくて、肉に力を入れるのもそういうことなのかも!

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
浜松市出身。2児の父。マーケティングアナリスト、日本唯一の流通アナリスト、コンビニ評論家、流通ジャーナリスト、約730品の商品開発に携わるマーケター、元コンビニバイヤー、元コンビニ店長、現コンビニアルバイター、「浜松市やらまいか大使」(観光大使)など、さまざまな顔を持つ。フジテレビ「Live Newsα」レギュラーコメンテーター「ホンマでっか!?TV」レギュラー評論家として活躍する他、スポーツ紙「東京スポーツ」に連載を持ち、ニュース・ワイドショー・新聞・週刊誌・ラジオなどのコメント・講演会・アドバイザリー・顧問業などでも幅広く活動中。趣味は「ドラゴンズ熱烈応援」「時折フルマラソン」「発展途上国の教育支援(ガーナ・ラオス)」。著書に『コンビニが日本から消えたなら』(KKベストセラーズ)

適掃夫(てき・ぱきお)
都内に住む30代サラリーマン兼フードライター。小学生のとき、母親の手伝いで料理に目覚め、兄の夜食を作るようになる。大学時代にはカジュアルイタリアンの厨房でアルバイト。就職後は自炊することがなかったが、数年前に働く妻と結婚して家事に奮闘。猛スピードで掃除洗濯をこなす様子から妻に「テキパキオ」と名付けられる。PB食品の食べ比べがスーパーの売り場徘徊が趣味。蛇口とシンクを磨くのが好きで、行きつけの飲み屋の閉店作業に加わりがち。ツイッターは「@tekipakio」

デイリー新潮取材班編集

2021年3月16日掲載

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