文政権、大統領肝いり「不動産政策」に価格高騰、汚職などで「大失敗」の声が上がり続けて

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国民を裏切った住宅公共事業

 国民が住宅問題に頭を抱えるなか、3月4日には韓国土地住宅公社の職員ら14人が、ソウル近郊の京畿道光明・始興地域にある第3期新都市指定予定の土地を、公表前に購入した疑惑が持ち上がった。

 報道によると、この土地投機疑惑で「韓国土地住宅公社は信用できない」というムードが蔓延しているという。

 以前から当該の土地に関しては、補償をめぐって韓国土地住宅公社と住民の間で対立が起きていたが、今回の土地投機疑惑で、さらに問題が悪化したようだ。

 この土地投機疑惑に関して、ある政府関係者はこう明かす。

「大統領は韓国土地住宅公社の職員だけではなく、日本の国土交通省に相当する国土交通部や関係公共機関の関連部署所属の職員や家族にいたるまで土地取引を調査して、厳しく対応するよう指示を出したようです。肝いりの政策に関する、しかも汚職に発展しかねないテーマですから、弁護士でもある大統領は看過しがたいのでしょう。しかし、国民の不満は相当たまっていて、怒りはそう簡単には収まらないのではないでしょうか」

 昨年12月、文在寅大統領は韓国土地住宅公社の新婚夫婦向け公共賃貸住宅を訪れ、13坪の部屋を視察して「新婚夫婦と子ども2人まで生活できる」と発言し、国民の怒りを買ったことがあった。

 またこの視察のためだけに、内装工事費用や家具のレンタル費用、視察運営費用など4億5000万ウォンが投入されたことが明らかになっている。

 文大統領が視察した部屋は、実際の住民が暮らす家の状況とはかけ離れており、「見栄えだけを気にしたパフォーマンス」と指摘する声が上がっている。

 さらに悪いことに、この賃貸住宅は、昨年12月時点で100戸のうち33戸が空室で、すでに入居した世帯から壁面のカビや漏水などの苦情が相次いで寄せられている一方、住宅公社と施工会社が手抜き工事をめぐって責任を擦り付け合い……といった泥仕合に発展している。

 文大統領の肝いりの不動産政策だが、ふたを開けてみれば、住宅価格の高騰、関係機関による違法行為疑惑、国民生活とかけ離れた住宅政策など、次々と失敗が浮き彫りになっている。

大岡真帆
1979年生まれ。2009年に渡韓。韓国企業・日系企業での勤務を経て、現在はフリーランスで活動中。

デイリー新潮取材班編集

2021年3月10日掲載

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