【福島第1原発事故から10年】飯舘村:「地域喪失」からの開墾(上)

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原発事故は人の関係を壊し、ばらばらにする災害だ――。「復興」の旗印のもと帰還した村は、かつての地味が失われ砂漠のような土地だった。住民の多くが農業を諦めるなかで、土と「共同体」回復の試みが続く。

 この冬、氷点下15度を記録した福島県飯舘村比曽。阿武隈山地深くの道は2月上旬の新雪に埋もれていた。つるつるに凍ったわだちも刻まれ、車の速度を30キロ以下に落として恐る恐る峠を越える。標高約600メートルの小盆地は真っ白に眠りつき、しかし、かつて水田風景があった集落の真ん中には、緑の覆いに包まれた除染土袋の仮置き場が山脈のように横たわり、2011年3月の東京電力福島第1原発事故から10年を経ても変わらぬ現実を見せる。...

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