パンツェッタ・ジローラモが日本で見つけた飲食店 美味しいNIPPON

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 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第79回は、パンツェッタ・ジローラモさん。今回は「17℃」に伺いました!!

 地中海にふりそそぐ陽射しのように陽気で、気っ風がよくて、底抜けに女好き。なんとなく日本人がイメージしてきた“イタリア人像”を具現化してくれたのは、このお方かもしれない。“ちょいワル”を広めた張本人、ジローラモさん(58)である。

 イタリアはナポリで育ったジローラモさんが日本に来たのは、父の仕事の手伝いで、建築関係の資料を集めるためだったという。ほどなく移住を決意し、日本語を学びながら広告代理店で働いていたが、

「NHKでイタリア語の語学番組に出たのは、知人のオーディションについて行ったのがきっかけなんだよね。会場で“君、出なよ”って言われて」

 語学番組をバラエティのノリでこなしたジローラモさんの知名度はグンと上がり、一躍人気者に。以降の活躍ぶりはご存知のとおり。

 さて、一挙手一投足がサマになる元祖ちょいワルが、“落ち着きたいときに来る”という店が銀座にあるという。その名は「17℃」、キャビアバーだ。

「外から見ると何の店だか全然わからないけど(笑)。内装で使われてる素材の高級感が落ち着くんだよね。銀座の“アフター”にもバッチリだよ」

 佇まいのコンセプトは、100年前のヨーロッパ。壁はウォールナット製で、19世紀に作られたフランス「セーブル」やドイツ「KPM」の年代物の調度品が、シックな異次元感を演出している。

 食材のメインは、もちろんキャビア。そば粉を使ったパンケーキに、香川産のキャビアを載せていただく。スペシャリテの一品料理は、ズワイガニのサラダに寒ビラメの燻製のドーム、コンソメジュレ仕立てキャビア添え。中途半端ではありません。お供のシャンパンは「アグラパール」。贅沢の極みである。

 グラス片手に語る。

「“ちょいワル”っていうのは、常に何か新しいことにチャレンジすることなんだよ。ボクはちょいワル精神を忘れずにいたいな」

 これぞダンディズム。見習いたいけど、下手に真似ると、笑い物にされちゃうかな。

週刊新潮 2021年3月4日号掲載

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