20代の俳優で異例の超高速出世「吉沢亮」の双肩にかかる「新・1万円札の男」

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「仮面ライダー出身」

 コロナで前作の終了が後ろ倒しになったため、2月21日から始まったNHK大河「青天を衝け」。日本のドラマでは主軸として描かれることのなかった渋沢栄一を吉沢亮が演じる。芸能界で「超高速出世」したという彼のこれまでを改めて振り返ってみた。

 渋沢栄一って…何をした人だっけ……財閥的な…いや、金持ち的な…なんか教育に関係した人だったような……うろ覚えにもほどがある。己の教養のなさに愕然とする。

 確か、朝ドラ「あさが来た」で三宅裕司が演じたけれど、銀行の人だったかしら。渋沢栄一の顔も功績も浮かばないうちに、「渋沢、大河になるってよ」「しかも新1万円札の顔になるってよ」と、あれよあれよという間に世の中が「渋沢栄一フィーバー」。正直、困惑している。

 だから、大河「青天を衝け」を観たとき、徳川家康役の北大路欣也が冒頭で解説してくれて、正直助かった。ドラマの冒頭で登場人物が出てきてカメラ目線で解説しちゃうのはハッキリいって邪道だし、私は大嫌いだ。

 ただし、この渋沢栄一に関してはあまりに知識がないので、「徳川家の家臣だった」とか「当時の世界情勢」をざっくり紹介してくれてありがたかった。欣也に感謝。この欣也ショータイム、いつまでやるのかな。

 さて、本筋に入る。主演は吉沢亮。20代の俳優の中でも異例の超高速出世、と言ってもいい。

 世にも美しい瞳と顔立ちで「イケメン俳優」の冠がつき、比較的短期間で王道を突き進んだ人だ。ざっくりまとめるなら、「仮面ライダー出身」→「青春学園系生徒役」→「ラブコメのはしっこ期」→「地方局・深夜枠で冒険期」→「少女漫画原作映画期」→「人気漫画の実写映画でキャラ完コピ期」→「朝ドラでヒロインの幼馴染」→「日曜劇場」→「大河で主演」。

「暗黒面」も

 たとえイケメンでも生徒役やはしっこ期が思いのほか長く、そのまま「無駄に二枚目バイプレイヤー」の道を歩く俳優も多い。朝ドラまでいったとしても、その後が続かない人も多い。吉沢はなんというか、ホップステップジャンプの飛び級感が強い。

「青天を衝け」のポスターは、泥まみれでびしょ濡れのわりに凛とした美しさが前面に出ていて、名画のようでもある。

「おいおい、ただのイケメン推しかよ」と思うかもしれないが、見目麗しいだけなら原稿にしない。もともとは不穏・不吉・不遇が似合う「暗黒面」があったから。

 ちょいとさかのぼってみる。

 最も古い記憶は「ぶっせん」(TBS・2013年)。廃寺寸前の貧乏寺が金策のために仏教専門学校を開き、若者が集められるというコメディで、吉沢は主演だった。印象はキレイな坊主。

「ロストデイズ」(フジ・2014年)では性格の悪い男子大学生役。キレイな顔で性格が悪いのは、ある意味、王道。

 その後にドラマというよりはコント劇の「新解釈・日本史」(TBS系・2014年)にも、ちょいちょい出て驚いた。とはいえ、ドラマの中ではまだ「ただのイケメン扱い」の時期だ。

 ちょっと足りないというか、いろいろ足りない青年の役も、数多くこなした。

「下北沢ダイハード」(テレ東・2017年)の第1話では親に反抗しきれない演劇青年の役、「恋する香港」(TBS系・2017年)ではあまりにも至らなさすぎるディレクター役。ロケ先でタレント怒らせちゃうような。まだ吉沢亮という俳優がどう転がっていくのかわからなかった。

 強烈な印象を記憶しているというか、実にしっくりきたのが「ぼくは麻理のなか」(フジ・2017年)だ。

 大学に入学したもののなじめず。友達はひとりもいない。親から仕送りは受けているが、引きこもってゲームと手淫三昧。要するに今でいう「陰キャ」。人と目を合わせることもしない・できない陰鬱なキャラクターと吉沢亮はしっくりハマった感があった。

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