「いきなり!ステーキ」のキッチンカーが登場 最後の切り札か、食べてみた

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ステーキ串の可能性

掃夫:肉質の話に戻しますけど、「いきなり!サーロインステーキ串」と同じ790円あれば、スーパーで輸入牛のサーロインが購入できます。それを常温に戻してから、一気に焼き目をつけてアルミホイルに包んで寝かせて……という焼き方をすれば、手間はかかるけどかなり満足できるステーキが焼けます。インジェクションされてないから柔らかさは劣りますが、肉を噛み締める喜びはそっちのほうが大きいと思います。

渡辺:そうなるとやっぱりステーキそのまま売るよりも「ステーキ串」や「牛串」のほうが可能性はあるのかもしれないね。

掃夫:はい。肉だけだとメニューが弱い気もするので、「ネギハラミ串」とか「牛トマト串」とかあったら面白そうです。

渡辺:そこまで行くと「いきなり!バーベキュー」になりそうだね(笑)。とはいえ、新業態のこの試みには、素直に拍手を送りたいです。背景には店舗の「いきなり!ステーキ」が苦しいことがあると思いますが、それを「どうにかしよう」という気概を感じました。コック服を着た社員さんたちが呼び込みをしていましたし、キッチンカーで働く社員の目がやる気に満ち溢れていましたから。

掃夫:確かに。名札に「次長」とある、管理職と思しき方がレジを打っている姿には驚きました。あれは紛れもなく肉以外の価値を生んでいましたよね。コロナ禍では外食産業はどこも苦しいと思いますが、いきなり!のキッチンカーの姿勢は元気づけられるかも。

渡辺:キッチンカーが苦肉の策じゃなく、次につながる何かになるといいですね。スーパーもコンビニも中食の総菜は揚げ物が中心ですから、対抗策として「焼き」は武器になると思います。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。マーケティングジャーナリスト。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ「FNN Live News α」レギュラーコメンテーター。

適掃夫(てき・ぱきお)
都内に住む30代サラリーマン兼フードライター。小学生のとき、母親の手伝いで料理に目覚め、兄の夜食を作るようになる。大学時代にはカジュアルイタリアンの厨房でアルバイト。就職後は自炊することがなかったが、数年前にアーティストとして働く妻と結婚して家事に奮闘。猛スピードで掃除洗濯をこなす様子から妻に「テキパキオ」と名付けられる。PB食品の食べ比べがスーパーの売り場徘徊が趣味。蛇口とシンクを磨くのが好きで、行きつけの飲み屋の閉店作業に加わりがち。ツイッターは「@tekipakio」

デイリー新潮取材班編集

2021年2月27日掲載

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