今は買いか売りか? 昨秋、すでに「史上最高値」を達成していた「コロナ相場」の“実態”

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 30年ぶりの29,000円超え。日経平均株価の続伸に列島が沸いている。平成初期のバブル期に記録した“38,915円超え”はいつになるか――。そんな声があちこちから聞こえてくるようになったが、日経平均という“モノサシ”だけに頼っていては、「コロナ株高」の実態は見えてこない。実は、別のモノサシに差し替えれば、すでに5ヶ月前に株式市場は“史上最高値”を実現していたのである。(株式評論家・天海源一郎)

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一時は16,000円台まで急落していた日経平均

 振り返れば、この1年の「コロナ相場」は激しかった。

 2020年2月、コロナウイルス感染拡大が欧米に拡大したことを受け、経済不安が一挙に広がり、株価は歴史的な急落を見せた。23,000円台から下げ続けていた日経平均が底を打ったのは2020年3月19日。終値は16,552円だった。1ヶ月で株価が約30%も下落したことは証券史上あまり見られることではない。経済不安、ともすれば世界恐慌の端緒にもなりかねない緊急事態であった。

 これを受け米欧日の中央銀行は、経済不安の元になる大手金融機関の信用懸念を払拭すべく、異例の規模で国債買い入れなどの金融緩和策を導入した。各国政府も巨額の財政出動(給付金、支援金、低利融資)で続き、株価の底上げを図った。

 効果は絶大で、コロナ感染拡大が続く中でも、世界の株式市場は底打ち反転となった。日経平均は安値時から、ものの1週間で約19,000円台まで反発。GW前後には20,000円水準、6月にはコロナ急落前の23,000円水準を回復した。その後は一進一退の動きとなったものの、夏頃に中国経済が持ち直し、さらにコロナワクチン完成間近とされた11月以降になると、一段高の様相となった。27,444円17銭で2020年を終え、2021年も勢いをキープ。そして、2月8日に、約30年6ヶ月ぶりに29,000円台を回復となったのだ(29,388円50銭)。

「日経500種平均」は昨秋に史上最高値を更新していた

 日経平均で「コロナ相場」を振り返ってきたが、ここで私が注目したいのは、東証1部の500銘柄で構成される株価指数「日経500種平均」の動きである。

「日経500種平均」は、70年余りの歴史がある日経平均株価(日本経済新聞社が選定する225銘柄の平均株価)や、50年の歴史を持つTOPIX(東証が算出する東証1部全銘柄の時価総額の増減)に比べ、マイナーな指数にとどまっている。

 だが、実は売買高・売買代金・時価総額をランキングした上位500銘柄を機械的に採用する指数であり、投資家人気が高い企業を続々採用しているため、「勝ち組企業の株価指数」とも言われているのだ。

 日経500種平均も、コロナショックを受け約30%下落し、一時は1,658円まで落ち込んだ。着目すべきはそこからの急上昇である。反発局面では「成長株」がけん引役となり大きく跳ね上がり、2020年9月28日には、史上最高値を更新(2,430円70銭)しているのである。その後も堅調に上がり、2月12日現在も2,827円88銭をつけている。

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