帰ってきた「Endless SHOCK」、堂本光一の「本気」と「決意」
344日ぶりに
2000年より上演され、堂本光一が日本演劇界における同一演目単独主演記録を更新し続けている舞台「Endless SHOCK」が344日ぶりに帝国劇場に帰ってきた。コロナで揺れるエンターテインメント業界において、そしてジャニーズ事務所にとって、それが意味するものは何なのか。開演前日のゲネプロを観劇した『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著者・霜田明寛氏が、その意味を考える。
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コロナ禍における政府のゴタゴタは、多くのエンターテインメントを揺さぶり続けている。
1年前、未知のウイルスがこの国にやってきたとき、その混乱をモロに受けたのが、「Endless SHOCK」だった。
2020年2月26日、政府による自粛要請、27日には全国の小中高への一斉休校の発表。
それを受け、2月27日から予定されていた公演を中止、SHOCKは中断されていた。
その後、3月18日に公演再開を発表するも、19日の専門家会議の発表を受け、20日の午前11時、開演7時間前に中止が発表。
20年続き、単独主演記録1位を更新中だった舞台が、長期間の中断を余儀なくされるというのは象徴的な出来事であり、その混乱がいかに大きなものであるかを感じさせた。
作・構成・演出・主演を務める堂本光一は、その事態を深刻に受け止めていた。
「深夜まで会議をして、最終的には僕の判断で中止を決定させてもらいました」(*1)と明言し、この状況を「地球そのものが要るもの、要らないものを精査していってる状態」(*2)と考えるまでに至っていた。
「不要不急」という言葉が広まる中で、自分がなりわいとするエンターテインメントとは必要なものなのかどうか、自問自答しているようだった。
そんなSHOCKが344日ぶりに帝国劇場に帰ってきた。
演劇業界全体を慮って
「Endless SHOCK -Eternal-」は、ニューノーマルの状況下でどう「SHOCK」を実現させるか考え抜かれできあがったスピンオフ版。本編の3年後という設定である。
昨年まで上演されてきた「Endless SHOCK」について説明しておくと、小さな劇場でショーを行っていたカンパニーに、オン・ブロードウェイからオファーがあり、大きく夢を描くまではよかったが、次第にメンバーに亀裂や混乱が生じて……という作品で、もともとはジャニー喜多川氏・作。
役名も「堂本光一→コウイチ」「上田竜也→タツヤ」というように、本名を踏まえるのが基本だ。
物語と現実を重ねてしまう見方には賛否が分かれるところかもしれないが―。
この「Endless SHOCK -Eternal-」を観劇していると、どうしても2つの現実が重なって見えてくる。
まず1つ目はやはり、この「SHOCK」が昨年、中断されていたという事実だ。
奇しくもこの「SHOCK」には以前から「SHOW MUST GO ON!」(ショー・マスト・ゴー・オン)というセリフが登場する。
ショーは続けなければならない、という意味のこの台詞は作品の根底にある。
大きな喪失を経たカンパニーの、ショーを続けることへの意思と葛藤が描かれ続けている作品といっても過言ではない。
そうなると、20年間「SHOW MUST GO ON!」を叫び続けた舞台が、昨年、中止を余儀なくされたという事実が、どうしても重なってしまう。
「ショーを続けなければならない」というのは、この1年の堂本光一の意思でもあったはずだ。
「休演になれば、出演者の収入は完全になくなってしまう」
「僕はタレント活動もやっているのでまだいいですが、例えば舞台一本でずっと活動しているアンサンブル(役名のないキャスト)の方にとっては死活問題」(*3)
と、堂本光一の発言は、いちタレントとしてではなく、演劇業界全体を慮って、その灯をたやすまいとしているように聞こえた。
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