ワクチン接種前に知っておくべきことは? アレルギーがある場合は「かかりつけ医」に

国内 社会 週刊新潮 2021年2月11日号掲載

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アレルギーが出るのはごく少数

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が2月中旬からスタートする見通しだ。イスラエルでは既に接種が始まり、期待通りの効果を上げているというが、接種する前に知っておくべきこととは――。

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 アレルギーや基礎疾患があって、接種に不安を感じている人もいる。近く始まる接種に向け、どういう心構えでいればいいか。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授が説明する。

「ファイザーのワクチンは米国で189万人に接種し、そのうち21人が、アレルギー反応でも特に重いアナフィラキシー症状を起こしたそうです。21人中17人は、これまでほかのワクチンや薬、食品などにアレルギー反応を起こした経験があり、1人はイヌ、ネコへのアレルギー歴があったようです。ただ、米国のCDC(疾病予防管理センター)や研究機関の分析では、mRNAを包んでいる、ポリエチレングリコールやポリソルベートという成分が原因ではないか、と示唆されています。これらは歯磨き粉やシャンプー、化粧品などに含まれ、一部の人がアレルギーを起こしているので、化粧品などに敏感な人は、接種時に注意したほうがいいかもしれません」

 一方、CDCは、

「食べ物、ペット、ハウスダストなど環境に対するアレルギー歴があっても、ワクチンの成分へのアレルギー歴がなければ接種してもよいのではないか、と推奨しています」

 と寺嶋教授。多くの新型コロナ患者を診てきた、浜松医療センター院長補佐の矢野邦夫医師が補う。

「ファイザー社やモデルナ社のワクチンには、卵やゼラチンが含まれていないので、食品にアレルギーがある人でも接種できます。ただ、アレルギー歴がない人でもアナフィラキシーショックになることはあるので、接種後15~30分間は様子を見る必要があります」

過去にアナフィラキシーショックを起こした人は?

 文字通り万が一、アナフィラキシーショックに見舞われたら、どうするか。

「呼吸が急に苦しくなる、血圧が下がって意識が朦朧とする、全身にじんましんのようなものが出る、などの症状が出ますが、アドレナリンを注射すれば、症状は治まっていきます」

 と寺嶋教授。ナビタスクリニックの内科医、久住英二氏の話も聞こう。

「過去になんらかのアナフィラキシーショックを起こしたことがある人は、アレルギー反応が出やすいといわれており、かかりつけ医に相談したほうがいいでしょう。ただ、そういう人は全体から見ればごく一部なので、必ずしも打たなくていいと思います。それ以外の方が打てば集団免疫を獲得できるので、リスクがない人が打ってほしい」

「打ったほうが絶対にいい」

 では、どうすればスムーズに接種を進められるだろうか。集団接種が基本になるだろうが、問診に時間をとられすぎないために矢野医師が提案するのは、

「うちの病院でも取り入れたいのが、接種の際、迅速なラインと質問ラインに分ける方法です。実際に接種するとなれば、“妊娠しているかも”とか“血液疾患があるので”とか、心配を抱える人が出てくると思います。そういう人の質問にはきちんと答え、質問がない人はスピーディに接種してもらうのです」

 また、久住氏も、ラインを分けることを提唱したうえで、こう注意を促す。

「集団接種に来る医師や看護師は、必ずしもワクチンに詳しくないので、アレルギー歴や合併症がある方は、かかりつけ医で打ってもらうのが安心です」

 と説くが、そもそも新型コロナのワクチンのリスクについてはこう語る。

「重篤なアレルギー反応は20万件に1件程度と報告され、コロナで重症化するリスクのほうがはるかに高率です。飛行機や自動車に乗るとき常に事故に遭うリスクを気にしますか。普段利用しているので、まず事故が起きないという肌感覚がありますよね。どんな医療行為にもリスクはつきもの。新型コロナのワクチンは十分安全と考えられ、打ったほうが絶対にいいです」

 寺嶋教授が言う。

「接種が進んでいるイスラエルでは、期待通りに効果が出ているようです。現地の流行状況にもよりますが、約13万人に接種し、その人たちの陽性率が0・01%といいますから、予防効果が95%前後といわれた臨床試験と同じくらいの成果が出ているようにも見える。集団免疫のような効果が出てきたのかもしれません」

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