NHK「有馬キャスター」は3月で降板か アドリブコメント禁止で本人は意気消沈

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 NHKの看板ニュース番組「ニュースウォッチ9(ナイン)」の有馬嘉男キャスター(55)の去就が注目されている。

「3月末の番組改編時期に合わせて降板は間違いない」

 最近、業界内ではこんな話が流れている。その発端となったのは、2020年10月、菅義偉首相が「ニュースウォッチ9」に生出演したときのこと。所信表明の話を聞きたいと依頼したものの、有馬氏が打ち合わせになかった学術会議の任命拒否問題について繰り返し質したからだった。キャスターとしては至極真っ当だが、これに官邸が激怒し、NHK上層部が有馬氏の交代を命じたと言われている。

 朝日新聞は昨年12月12日、12月5日夜の会食で坂井学官房副長官がこう語っていたと報じている。

《「所信表明の話を聞きたいといって呼びながら、所信表明にない(日本)学術会議について(菅首相に)話を聞くなんて。全くガバナンス(統治)が利いていない」》

 それ以来、番組内での有馬氏の発言が厳しくチェックされるようになったという。

「ニュースの後に有馬さんが受けのコメントするときすら、アドリブは許されなくなりました。事前にデスクが何を発言するのか、すべて把握しようとするので、まるで“検閲”のようだと言われています」

 と、番組関係者は明かす。有馬氏に余計なことを言うなというプレッシャーがかけられているというのだ。もともと有馬氏は歯に衣着せぬ物言いをするタイプではないが、最近はますます当たり障りのない発言しかしなくなっている。

「有馬さんも相当気に病んでいるようで、自分をキャスターに据えたのはおとなしいからということかな、などと、ボソッと呟いたりしています」(同)

忖度の塊

 有馬氏は上智大学を卒業後、1990年にNHKに入局。経済部記者が長く、フランクフルト支局長やシンガポール支局長を務めた。帰国後は「ニュースウォッチ9」のデスクのポストを経て、2017年4月から同番組のキャスターに就いた。

 当時からNHKの政権幹部に対する「忖度」はあったが、「菅首相になって露骨になっている」と、多くのNHK記者が語る。ニュースウォッチ9で読む原稿にしても、それは同様だ。

「現場から上がってくる原稿は忖度ばかりで、真実を掘り下げようという意欲が感じられない。官邸は首相への忖度、都庁は都知事への忖度で、腑抜けなものばかりです。そこで有馬さんが補足しようとコメントを加えると、記者から余計なことをするなと突き上げられる。これでは何のためのキャスターなのかと、思うのも当然でしょう」(番組関係者)

 年末から年始にかけ、緊急事態宣言の発出を巡り、菅首相と小池百合子東京都知事がつば迫り合いを演じた際も、都庁クラブが出した原稿に、官邸クラブが猛烈な抗議をし、結局は菅首相に配慮した原稿になったという。「官邸への忖度」は、菅氏が首相になってエスカレートしているというのだ。

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