「説教部屋」「DJ気取り」…日本上陸から2週間で「Clubhouse」疲れが続出の理由

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 1月下旬の日本上陸からわずか半月。登録者数が50万人を突破したと言われる音声SNSアプリ「Clubhouse(クラブハウス)」が話題だ。口コミから始まり、今やテレビでも特集が組まれるなど社会現象化しているが、一方で、早くも“Clubhouse疲れ”が続出しているという。そのワケとは……。

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なぜ一般ユーザーがこぞって「ルーム」を乱立させるのか

 音声版Twitter。Clubhouseを説明する際、よく使われる言葉だ。利用者は「ルーム」を立ち上げ、そこで誰かと会話するなどして「発信」する側になれる一方、他の人の「ルーム」に入って聴衆の一人にもなれる。

 イメージしづらい人は「ラジオ」のようなものだと思ってもらえばいい。誰でもいつでも「番組」を立ち上げて、「DJ」になれるのがClubhouseだ。実際のラジオ番組でも、リスナーが電話で出演するという演出があるが、Clubhouseにはそれが簡単な機能として備わっている。リスナーが「挙手」ボタンを押し、ルームオーナーが承認すれば、会話に参加することも可能だ。

 自ら「番組」を制作し、世に発信するという点では、YouTubeにも似ている。だが、大きな違いが2点。一つは、Clubhouseは声だけ聴かせればいいので、YouTubeのように絵作りの必要もなく、簡単に立ち上げられる。もう一つは、発信する側に金銭的メリットがない点である。将来的には“投げ銭”機能がつくのではないかと言われているが、現状では発信側に広告収入などは一切入ってこない。

 この後者に挙げたポイントが、Clubhouseを分析する上で重要になる。今、アプリを立ち上げると、24時間、数え切れないほどのルームが立ち上がっているが、周回していると、一つの大きな疑問がもたげてくるのだ。

 この人たちは、いったい何の目的で貴重な時間を割いて、発信しているのだろうかというナゾである。

宮沢賢治の一人朗読会

 ある20代出版社社員が語る。

「興味があって、友達から紹介してもらって3日くらいやってみたんですが、つまらない話を聴かされ続けて疲れちゃって……。嫌な気持ちになってやめました」

 彼が最初に訪れたのは、同僚の漫画編集者が立ち上げていたルームだという。

「他社の編集者たちと、アプリ業者など4、5人を招いて、ゲームの開発のウラ側の話を聞く勉強会のような場でした。実際、聴いていて、へーって思える話もありました。でも、ふと思ったのは、なんでこの人たちは誰からも頼まれてもいないのに、時間を割いてこのようなことをやっているのだろうという素朴な疑問でした。勉強会をしたいならば、このメンバーだけで居酒屋や会社の会議室でやればいいだけのことですよね」

 さらに、別の漫画編集者のルームを覗くと、衝撃的な声が聞こえてきたという。

「寝るまで宮沢賢治を朗読すると言って、深夜2時に『銀河鉄道の夜』を一人で読み上げているのです。ここまでくると、もはや意味がわからない。自分の周囲には、こんなにも自己顕示欲でまみれた人たちばかりいるんだというイヤな気分になって、もう聴くのをやめました」

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